東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は1月20日、2020年5月に発覚した中国籍漁船「Longxing 629」でのインドネシア人移民労働者に対する奴隷状態の強制労働問題を踏まえた水産業界の現状報告書を発表するとともに、日本大手11社を対象とした人権方針に関するアンケートを調査を開始すると発表した。
Lonxing 629での事件では、大連海洋漁業が人材斡旋会社を通じてインドネシア人乗組員を採用。しかし、被雇用者側に斡旋フィーを請求し給与から天引きし、ほぼ実質無給与で1日約18時間働かされ、船上での栄養失調、精神的虐待、暴力、不衛生な環境での生活を強いられていた。さらにパスポートを雇用主側に没収されていたため、逃げ出すこともできなかった。
この状態が、2020年4月に韓国・釜山での検疫中に、韓国人権NGOのAdvocates for Public Interest Law(APIL)が乗組員にインタビューしたことで発覚。また、同漁船は、大連海洋漁業の指示で、13カ月間連続して西太平洋海域で航海し、IUU(違法、無報告、無規制漁業)漁業でのフカヒレ漁を行っていたこともわかった。絶滅危惧を扱うワシントン条約(CITES)締約国会議総会は2019年、フカヒレの原料として有名なアオザメやサカタザメ等18種のサメとエイを「附属書2」に加えることを可決しており、商業漁が禁止されている。
【参考】【国際】ワシントン条約、日本で人気のコツメカワウソの商業取引禁止。フカヒレ食材等も取引規制(2019年9月1日)
ヒューマンライツ・ナウは、IUU漁業が世界的に蔓延していながらも、日本の法規制が非常に遅れていることを踏まえ、水産大手11社に対するアンケート調査を実施する。対象企業は、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅、伊藤忠商事、日本水産、マルハニチロ、極洋、横浜冷凍、イオン、セブン&アイ・ホールディングス。調査票には、人権方針、人権デューデリジェンス、サプライヤーのトレーサビリティ、救済メカニズム、ステークホルダー・エンゲージメント等に関する内容が盛り込まれている。
【参照ページ】【報告書】中国籍漁船上でのインドネシア人移民労働者に対する人権侵害事件を踏まえた報告書発表と水産業関連会社11社に対してのアンケート調査
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