国連欧州経済委員会(UNECE)は12月24日、サーキュラーエコノミー化を考慮したごみ発電所建設の官民パートナーシップ(PPP)プロジェクトの在り方についてガイダンスを発行した。ごみ発電が廃棄物を焼却し、二酸化炭素や大気汚染物質を排出することを課題視し、サーキュラーエコノミー化に向けた暫定ソリューションとして位置づけつつ、人間中心主義のインフラ設計を行うべきとした。
今回のガイダンスは、UNECEが2021年中に策定作業を完了する予定の「人間中心主義の官民パートナーシップ(PPP)評価手法」に紐づくもの。同評価手法は、各政府向けに、国連持続可能な開発目標(SDGs)と人間中心主義基準の観点から、インフラ開発プロジェクトで重視すべきベンチマークや測定指標を提示するもの。活用することで、プロジェクト策定初期段階から、レジリエンスと持続可能性をインフラプロジェクトの中核に組み込むことを狙っている。
ごみ発電プラントは、世界で1,200ヵ所あり、年間3.1億tの廃棄物を処理する能力がある。ごみ発電は、再生可能エネルギーによる電力供給の1%を占め、市場規模は310億米ドル(約3.2兆円)。2027年までの年間成長率は7.4%になる見込み。
同ガイダンスは、エネルギー回収を行うごみ発電(サーマルリサイクル)については、新興国を中心に導入が進められているが、サーキュラーエコノミー化の中で、廃棄物ゼロを実現すべき状況においてどのように位置づけるかについての各国政府向けの勧告をまとめた。現時点では、サーキュラーエコノミーを実現するリサイクル技術の導入や、廃棄物の回収フローが確立してない地域も現実にあり、そのためサーキュラーエコノミーのサイクルを完全に実現するまでの過渡期の技術としてごみ発電を位置づけた。その上でごみ発電所の建設で重視すべき観点を示した。
示した観点は、ごみ発電においても有価値の資源を分別するためのフローを導入すること、中央集約の大規模型ではなく地域分散の小規模型を導入すること、大気汚染物質の排出削減装置を導入すること等を挙げた。
新型コロナウイルス・パンデミックにより、ESGの「S(ソーシャル)」への関心が一気に高まっており、UNECEは、2020年12月の官民パートナーシップに関する作業部会の第4回会合で、検討中の評価手法案を議論。UNECE加盟国は、評価メソドロジーを歓迎した他、2021年末までに改善を見越し、実際のプロジェクトで活用するためのアクションプランを承認している。
UNECEは、実用的で使い易い自己評価ツールを 2021年の第1四半期中にリリース予定。評価メソドロジーの検証に必要な情報を収集するための検証プロトコルも開発する。2021年4月の第69回委員会セッションでは、ハイレベルセグメントおよび横断テーマに寄与するガイドラインを提出することも決定している。
【参照ページ】UNECE launches methodology to evaluate the sustainability of infrastructure projects and guidelines on Waste-to-Energy projects for the circular economy
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