1月に入ってから、日本のエネルギー関連大手で、石炭火力発電、石炭炭鉱、油田の権益を徐々に手放す動きが広がっている。いずれも気候変動に関する市場変化に向けた座礁資産対策とみられる。
三井物産の安永竜夫社長は1月6日、日本テレビのインタビューの中で、適切な売却先があれば、石炭火力発電事業を売却し、同事業から撤退する方針を表明した。同社は2020年、2030年までに石炭火力発電権益を全て売却の意向を示していたが、状況によってはさらに前倒して撤退する。同社は、中国、インドネシア、マレーシア、モロッコの4ヶ国に現地企業と合弁で石炭火力発電事業を営んでいる。
伊藤忠商事は1月13日、2023年度までの中期経営計画の中で、「一般炭権益からの完全撤退を含めた脱炭素化の推進」を標榜した。同社が保有している一般炭炭鉱権益は、コロンビアのドラモンド炭鉱(年間600万t)、オーストラリアのモーリス・クリーク炭鉱(同150万t)とレブンスワース・ノース炭鉱(同90万t)。そのうち後者2つは原料炭炭鉱も含んでいる。
出光興産の木藤俊一社長も1月13日、ブルームバーグのインタビューの中で、一般炭採掘事業には新規投資しない方針を語った。現在保有している一般炭鉱の権益については、売却先がつかなくなっているため、保有し続ける考えを示した。
丸紅に関しても、ブルームバーグは1月15日、英国領北海中央部の「モンアーブ」と呼ばれる区域に保有する油田・ガス田の権益売却を計画していると模様と報じた。同区域の権益は、丸紅が41%、レプソル・シノペック・リソーシズが59%を保有。オペレーターは、レプソル・シノペック・リソーシズ。
一方、丸紅は、ベトナムの南部メコンデルタ地方カントー市で既存のガス火力発電所の計画拡張を行う。グエン・スアン・フック首相が2020年9月、計画の最終承認を下していた。計画拡張するのは、オーモン電力センター内の「オモン火力発電所2号機」で、現行計画の750MWから1,050MWに増やす。現地の貿易建設総公社との合弁で、投資額は30兆5600億ベトナムドン(約1,380億円)で、自己資金が20%、融資が80%。
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