総合電機世界大手独シーメンスは1月13日、風力発電設備子会社シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー(SGRE)と、エネルギー設備子会社シーメンス・エナジーが連携して5年間で1.2億ユーロ(約150億円)を投資し、スタンドアローン型の洋上風力発電活用グリーン水素生産設備を開発するプロジェクトを発表した。今後、再生可能エネルギー発電を活用した水電解での生産するグリーン水素の需要が急増することを見据え、技術力をリードする。
従来から構想されているグリーン水素生産では、再生可能エネルギー発電所から電気を水電解設備のある工場に送電し、そこで水素を生産するというもの。しかしシーメンスが今回掲げた新たな計画では、洋上風力発電機そのものに水電解装置を取り付け、海水を汲み上げてその場で水素生産を実施。生成した水素を運ぶというもの。
今回の新設備の開発に向け、シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジーは8,000万ユーロを投じ、最大設備容量15MWの洋上風力発電機「SG14-222 DD」を改造し、水電解装置を取り付けられるようにする。また、シーメンス・エナジーは、4,000万ユーロを投じ、専用の水電解装置を開発する。発電から水電解までの工程を一体的に行うことで、高性能・高効率・低コストなグリーン水素生産を実現するという。
今回のプロジェクトは、ドイツ連邦教育・研究省が、2020年6月に掲げた「水素ドイツ」構想の一環として実施している国家イニシアチブ「H2Mare」からも支援を受ける。H2Mareイニシアチブそのものも、シーメンス・エナジーが主導的役割を果たしている。
また、シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー、オーステッド、ITMパワー、エレメント・エネジーの4社で構成するコンソーシアムも1月8日、洋上で風力発電から水電解までを一貫して行う「オイスター・プロジェクト」が、EU欧州委員会の「Fuel Cells and Hydrogen Joint Undertaking(FCH JU)」から助成金500万ユーロ(約6.3億円)も獲得したことを発表した。
オイスター・プロジェクトは、エレメント・エナジーが調整役を務め、オーステッドが洋上風力発電の知見を、ITMパワーが電解槽設計、SGREが洋上風力発電設備の知見を提供。天然ガス並みの低コストなグリーン水素生産を確立することをミッションとしている。同プロジェクトは2021年に開始し、2024年に完了予定。
化学世界大手英リンデも1月13日、ドイツのロイナ石油化学コンビナートで、世界最大のイオン交換膜(PEM)型電解を活用したグリーン水素生産工場を建設、運営する計画を発表している。電解設備容量は24MW。生産した水素は、リンデの水素供給ネットワークに乗せ、主に燃料電池(FC)バスへの水素供給を念頭に置いている。建設はITMパワーとリンデの合弁会社ITM Linde Electrolysisが担当。2022年第2四半期に生産を開始する予定。
【参照ページ】Siemens Gamesa and Siemens Energy to unlock a new era of offshore green hydrogen production
【参照ページ】Consortium receives funding to investigate offshore hydrogen production
【参照ページ】Linde to Build, Own and Operate World’s Largest PEM Electrolyzer for Green Hydrogen
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