米カーボンリサイクルLanzaTechとオランダ持続可能なジェット燃料開発SkyNRGが主導するFLITEコンソーシアムは1月7日、アルコールから炭化水素燃料を生産する「Alcohol to Jet(ATJ)」技術を実践する工場「LanzaJetTM」を、欧州に建設すると発表した。
同コンソーシアムは、2020年12月に開始。SkyNRGやLanzaTechの他にも、欧州最大の科学技術応用研究機関フラウンホーファー研究機構やエネルギー・サステナビリティ戦略コンサルティングE4tech、持続可能なバイオ原料円卓会議(RSB)等が参加している。SAFは、今後10年間の航空セクターの二酸化炭素排出量削減の主要施策とみられている。従来の化石燃料と比べ、二酸化炭素排出量やPM、硫化化合物(SOx)の排出量削減に大きく貢献する。
ATJには、ブタノールから炭化水素燃料に変換するプロセスと、エタノールから変換するプロセスの2つがあるが、今回のLanzaJetTMでは、エタノールからの変換。同工場は2024年から100%稼働し、廃エタノールから持続可能な航空燃料(SAF)を年間3万t生産する見通し。生産するSAFは、スイスの国際イニシアチブ「持続可能なバイオ原料円卓会議(RSB)」のRSB認証を取得済み。
SkyNRGは、同コンソーシアムを主導する他、サプライチェーン下流の開発管理も実施。LanzaTechは、工場の設計、建設、運用を担当している。また、フラウンホーファー研究機構はプロジェクト間でのコミュニケーションを監督。E4techは、ライフサイクルアセスメントを行い、持続可能なバイオ原料円卓会議(RSB)は、LanzaJetTMへのRBS認証の付与について支援した。
今回のLanzaJetTM設立プロジェクトは、EUの2014年から2020年までの7カ年予算「Horizon 2020」の一環で、助成金2,000万ユーロ(約25億円)を得て始動。Horizon 2020は、2050年までにEUを二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現するためのテクノロジー等に資金を投入する重要政策だった。現在、2021年から2027年までの新長期予算年度「Horizon Europe」は移行している。
SAF生産については、欧州グリーンディールのポリシー「持続可能なスマートモビリティ」や、新たな立法イニシアチブ「EU ReFuelEU Aviation」でも、野心的な目標が設定済み。FLITEコンソーシアムは、SAF生産を拡大するため、原料や利用技術の多様化は不可欠と指摘。商用前のATJ工場は、欧州を初めとする世界でのSAF生産の足掛かりになるとした。また、同コンソーシアムでは燃料を開発するだけでなく、地域経済開発の加速やエネルギー安全保障、雇用創出にも寄与していると強調した。
【参照ページ】Building Europe’s first of its kind Alcohol-to-Jet production plant
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