建設業界での脱炭素化推進の国際イニシアチブGlobal ABC(建物および建築のグローバル・アライアンス)は12月16日、脱炭素化に向けた年次進捗報告書の2020年度版を発表した。Global ABCは、第21回国連気候変動枠組条約パリ会議(COP21)で発足したマルチステークホルダー型のイニシアチブ。国連環境計画(UNEP)が務めている。
Global ABCに加盟している国は、日本(国土交通省)、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、ドイツ、フランス、スイス、オーストリア、クロアチア、リトアニア、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、キプロス、ウクライナ、ロシア、アルメニア、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、モンゴル、ベトナム、カメルーン、コートジボワール、セネガル、チュニジア、モロッコ、ジブチ。
また地方政府からも、東京都、米カリフォルニア州、カナダ・オンタリオ州、バンクーバー市、ポーランドのワルシャワ市、コロンビアのメデリン市、メキシコシティ、ネパールのパタン(ラリトプル)市も加盟。企業からも、スエズ、ヴェオリア、サンゴバン、ラファージュホルシム、オートデスク、遠大集団(Broad Group)、積水ハウス等が加盟している。
加盟機関の中でも、Global ABCの活動に積極的なのが、フランス、ドイツ、スイスの政府。また国際機関では国際エネルギー機関(IEA)も活動資金を積極的に拠出している。
今回の年次報告書では、2019年の世界全体の二酸化炭素排出量のうち不動産の占める割合は38%。エネルギー消費量では、35%を占めていると指摘。一方で、人口もフロア面積も上昇しており、今後不動産での二酸化炭素ネット排出量ゼロに向けての課題は大きいということを示した。
Global ABCは、2050年カーボンニュートラルを目指すために、建物気候トラッカー(BCT)という指標を開発しており、2015年を0、2050年に100という形で毎年の目標数値を設定している。これによると、年々上昇しなければいけないはずが、2016年からはむしろ指数が減少。建設・不動産では、全くカーボンニュートラルの方向に向かっていないことがわかった。
(出所)Global ABC
新型コロナウイルス・パンデミックでは、建設業界も直撃を受けており、建設活動は世界全体で10%から25%もダウン。そのためGlobal ABCは9月に声明を発表し、各国でのグリーンリカバリー政策に、不動産の省エネ修繕やリノベーションを含めるよう呼びかけた。
Global ABCは、建物の使用フェーズだけでなく、建設フェーズでの二酸化炭素排出量削減もスコープに入れている。IEAの統計では、建設・不動産からの二酸化炭素排出量38%の内訳は、建物使用での電力が19%、建物使用での化石燃料燃焼が9%、建材製造と建設が10%。グリーンビルディングへの投資拡大だけでなく、建材のサーキュラーエコノミー化についても言及し、具体的な提言アクションも発表した。
その他、同レポートでは、健康・ウェルビーイング、自然基盤ソリューション、レジリエンス・気候変動適応等の状況も解説している。
【参照ページ】2020 Global Status Report for Buildings and Construction
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