EUを構成する3機関の長であるEU理事会議長(現議長国ドイツ)、ダビド・サッソリ欧州議会議長、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は12月17日、2021年の立法優先事項と、2024年までの欧州議会の任期中の複数年度の優先政策で合意した。残りの任期の優先政策を3機関で定めるのは今回がEU史上初。
EUは、新型コロナウイルス・パンデミック等の影響で、立法・行政課題が噴出していることを受け、事前に優先事項で合意し、各々がスケジュールを最適化できるようロードマップを作成し、相互に連携して効率的に意思決定を行うことを選択した。また、2024年までの中期的な優先政策も事前に固めることで、長期的な予算運用ができるようにすることも意識した。
単年度の立法優先課題の事前合意は、欧州の内部規定「より良い立法についての機関間協定(Interinstitutional Agreement on better law making」の中で2016年に定められており、今回が3回目。今回6つの分野を2021年の立法優先事項として掲げた。
- 欧州グリーンディール政策の実行(公正な気候転換、2050年までのカーボンニュートラル、2030年までの野心的な進捗、生物多様性)
- 欧州のデジタル化(単一デジタルサービス市場、電子コミュニケーションでのプライバシー強化、AIフレームワーク)
- 人々のための経済(社会全員に届く経済復興、社会的エクイティ、多国籍企業への透明な納税、公正な競争)
- 世界における欧州の強大化(責任のあるグローバル・リーダーシップとパートナーシップの深化、北米との新たな連携、レベルプレイングフィールドのための通商政策
- 自由で安全な欧州の促進(亡命者や難民の協定、シェンゲン協定の強化、健康危機への対応強化)
- 民主主義と欧州価値の強化(法の支配と基本的権利の保護、欧州政党と政治広告のルール、職場での男女平等の保護のためのEUの連帯)
また、EU初となる複数年の優先政策として、今回7つ設定した。
- 欧州健康連合の構築を通じ、新型コロナウイルス・パンデミックからの完全復興
- 公正、グリーン、デジタルな社会のための転換
- 気候変動と戦うためのグローバル・リーダーシップの発揮
- 欧州自身のデジタル・ソリューションの形成と、欧州デジタル主権の確立
- 欧州経済のレジリエンスとロバストネスの強化
- 欧州共通価値の定義と、欧州民主主義モデルの強化
- グローバル・アクターとしてのEUの役割の増幅
【参照ページ】Leaders of EU institutions establish common priorities for 2021 and until next elections
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