中国政府と国際機関が主導する「一帯一路緑色発展国際連盟(BRIGC)」は12月1日、一帯一路でのプロジェクト・ガイダンス「一帯一路(BRI)プロジェクトのためのグリーン開発ガイダンス基礎調査レポート」を発行。一帯一路政策での支援プロジェクトについて、環境インパクトで「赤」「黄色」「緑」の3分類するフレームワークを公表した。
BRIGCは、2019年4月に開催された第2回一帯一路フォーラムによって設立。中国生態環境部が事務局を務め、中国からは、清華大学、中央経済大学のグリーンファイナンス国際研究所(IIGF)、中国政府が設立し80ヶ国以上が加盟する国際機関のグローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)、中国国家発展改革委員会下の国家気候変動戦略研究・国際協力センター(NSCS)、中国の交通運輸部企画研究院(TPRI)等が参加。
国際機関側からは、国連環境計画(UNEP)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、世界資源研究所(WRI)、国際自然保護連合(ICUN)、グローバル・グリーン成長研究所(GGGI)、国際持続可能開発研究所(IISD)、環境防衛基金(EDF)、ClientEarth、子ども投資基金財団(CIFF)等が参加している。
一帯一路プロジェクトのためのグリーン開発ガイダンスは、BRIGCが2019年12月に発行。今回のそのための基礎情報の位置づけで、分類に関する細かい考え方が示された。
今回のガイダンスは、一帯一路政策で支援するプロジェクトに関し、気候変動、汚染、生物多様性の観点から、3段階で環境インパクトを分類するもの。同様のフレームワークには、国際的にエクエーター原則(赤道原則)が存在しているが、同ガイダンスはエクエーター原則も踏まえつつ、EUタクソノミー等によるプロジェクト分類も加味した上で、独自の3分類手法を考案した。また、国際的なお墨付きを得るために、BRIGCに参加している国際機関やNGOからも同意を取り付けた。
【参考】【中国】清華大学、NGO等、一帯一路政策での投資には脱炭素化が必要と警鐘。CO2排出増懸念(2019年9月19日)
3分類法の目新しい点は、明確に「赤」分類されるプロジェクトを例示した点。赤分類プロジェクト(ネガティブ・リストと呼称)は、環境に著しく不可逆的なダメージや、気候変動・汚染・生物多様性の分野で重大な悪影響を及ぼすものとされ、金融機関に対し、融資条件やリスクマネジメント、情報開示要求を厳格化するよう勧告している。その中で、石炭火力発電の新設及び拡張の双方、ガス火力発電、水力発電、石油化学、金属精製、鉄道建設、港湾建設を明確に「赤」と位置づけた。水力発電と鉄道建設では、生物多様性の観点から「赤」になりうるとした。
また、EUで強調されているDNSH(Do Not Significant Harm)原則を満たしつつ、環境インパクトとして中立的なものを指す「黄色」分類に、廃棄物発電(ごみ発電)を位置づけた。一方、「緑」分類には、太陽光発電と風力発電を置いた。
中国政府は、10月にも、生態環境部、国家発展改革委員会、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会の5機関からも、一帯一路プロジェクトに関する「気候変動対策のための投資・ファイナンス促進ガイダンス」が発行されている。
【参照ページ】“Green Development Guidance for BRI Projects” (Baseline) published by the Belt and Road Initiative Green Coalition (BRIGC) puts coal in negative list
【参照ページ】Interpretation of the “Guidance on Promoting Investment and Financing to Address Climate Change” for the Belt and Road Initiative (BRI)
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