長期志向経営推進国際イニシアチブの米FCLTGlobalは12月7日、預貯金、投資、企業支出の長期思考傾向を分析したレポートを発表した。その結果、過去10年間で企業は平均では短期思考に、投資家は長期思考になってきていることがわかった。また国別の個人及び機関投資家の長期思考度では、日本が他の主要国と比べて短期思考であるとの分析結果が出た。
今回の分析は、預貯金、保険・年金、投資等の資本市場のデータを基にしつつ、アセットアロケーションの状況から長期思考度を測定するという手法を採用した。分析の肝となる上場株式と債券では、主要国企業のアセットアロケーション状況を基に、国別業種別の大まかなデュレーションを算出した上で、アクティブ運用とパッシブ運用での想定デュレーションの差を加味し、長期思考度を測った。
また、期待度としては、個人では、現金や普通預金のデュレーションは0年、貯蓄預金や確定拠出型年金でのデュレーションは30年、不動産投資は7年と推測。機関投資家では、年金基金は15年、保険会社は12.4年、国富(政府系)ファンドは20年、エンダウメント・財団は20年と仮置きした。
その上で、個人等の期待値と実際の投資デュレーションの比較を行ったところ、実際の投資デュレーションのが大幅に短期的であることがわかった。例えば、年金基金の15年期待に対し実際は5.8年。保険会社の12.4年期待に対し、実際は4.6年。エンダウメントでも20年期待に対し、実際は4.3年だった。
企業による企業投資と、投資家による企業への投資の双方の投資ホライゾンの状況では、企業投資が2009年の6.19年から2018年には5.62年と短期的になったのに対し、投資家による企業への投資では2009年の3.13年から2018年には4.29年と長期的になっていた。
10カ国の国別の投資ホライゾン比較では、個人・機関投資家全体での傾向では、米国5.38年、英国5.92年、ドイツ5.01年、インド5.82年、中国4.22年に対し、日本は3.89年で比較国中最も短期思考だった。特に投資ではなく現金での預貯金が多い日本の個人での投資ホライゾンが比較国中断トツで短い3.81年だった。
【参照ページ】FCLTCompass, new dashboard from FCLTGlobal, tracks long-term investing on a global scale
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら