国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は12月8日、北米で建設中の石油パイプライン「Line 3」の新線と、石油パイプライン「Keystone XL」に関し、関与している金融機関を批判する声明を発表した。Line 3とKeystone XLは、気候変動と先住民族の権利の双方の観点から、プロジェクト構想当初から批判が続いている。
Line 3は、カナダ・エネルギー大手エンブリッジが1968年から保有しているパイプラインで、カナダ・アルバート州ハーディスティのオイルサンド採掘地域と、米ウィスコンシン州スーペリアを結んでいる。同社は2014年に、米ミネソタ州で新線を敷設する計画を発表し、2020年11月に連邦政府とミネソタ州政府の双方から最終許可を獲得。現在工事を進めている。
Keystone XLは、カナダ・アルバート州政府とカナダ・エネルギー大手TCエナジーが建設を進めるパイプラインで、同じくカナダ・アルバート州ハーディスティのオイルサンド採掘地域と米ネブラスカ州のスティール・シティを結ぶ線。2021年1月から工事が始まる予定。
双方とも、石油採掘を活発化させる気候変動への懸念と、パイプライン周辺での環境破壊や水質汚染への懸念から、環境NGOと先住民族による抗議運動が発生。米国では大規模な抗議運動となっている。
今回のRANの調査によると、Line 3の銀行ファイナンス額ランキングは、トロント・ドミニオン銀行が135.9億米ドルで首位。その後、モントリオール銀行(100.6億米ドル)、スコシア銀行(98.4億米ドル)、カナダロイヤル銀行(79.8億米ドル)、CIBC(69.8億米ドル)と上位5社はすべてカナダの銀行大手が占めている。日本の銀行では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が9位で26.8億米ドルだが、そのうち一部の融資は2021年に満期を迎える。みずほ銀行も12位で17.3億米ドルあるが、一部の融資は2022年に満期を迎える。三井住友フィナンシャルグープ(SMFG)も16位で、2022年に満期を迎えるものも含め11.8億米ドルのファイナンスを実施した。これらのファイナンス額には融資だけでなく、債券引受も含まれる。
Keystone XLでは、1位はモントリオール銀行で203.8億米ドル。その後、JPモルガン・チェース181.4億米ドル、トロント・ドミニオン銀行55.8億米ドル、カナダロイヤル銀行55億米ドルと続く。
RANは、銀行に対し、コミットメントライン設定も含め、新規ファイナンスには加担しないよう要求するとともに、エンブリッジとTCエナジーが同プロジェクトを継続しようとする場合には、2社へのファイナンスも禁止するよう求めた。また他の全てのオイルサンド関連プロジェクトへのファイナンスもやめるよう求めた。
【参照ページ】Big Banks Face Stark Climate Choices as Tar Sands Pipelines Rammed Through Amidst Escalating Pandemic
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