Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【韓国】政府、包括的プラスチック削減政策発表。2030年使い捨てレジ袋全廃。2025年リサイクル率70%

 韓国の丁世均首相は12月24日、国政懸案点検調整会議の中でプラスチック削減のための長期政策を発表した。2030年に使い捨てビニール袋の使用・販売を全ての業種で禁止するとともに、2050年二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)という政府公約の実現のために、100%バイオプラスチック素材への切り替えも急ぐ。

 韓国では、新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり、プラスチック廃棄物が増加。対前年比でも、小包輸送が19.8%増、フードデリバリーが75.1%増、プラスチック廃棄物が14.6%増、ビニール廃棄物11%増となった。一方で、海洋プラスチック汚染の問題や、二酸化炭素排出量の削減のために、従来の使い捨てプラスチック削減対策だけでなく、バージンプラスチックの生産量そのものの削減を決めた。

 今回の政策では、プラスチックの削減、リサイクル、素材転換等を組み合わせて、バージンプラスチック消費量を削減する。

 まず削減では、容器全体に占めるプラスチック容器率を、現在の47%から2025年に38%に低減することを政策目標として設定。達成に向け、各製品分野の特徴に応じた低減率も設定してく考え。またプラスチック容器を利用する大手企業に対しては、自社での低減率目標の設定を推奨していく。特に、市場での水販売に関しては、現在90%がペットボトル容器で売られていることを課題視し、再利用やリサイクルのしやすいビンでの販売に切り替えるよう促していくという。

 さらに、プラスチック製の食品容器については、2021年から厚さ規制を設け、消費量を削減させる。5月には環境省と業界団体はプラスチック製持ち帰り容器の重量を20%削減することに合意。例えば、カムジャタンや海鮮品のプラスチックデリバリー容器の厚さは、0.8mmから1.2mmが一般的だが、これを1.0mmに制限することで、平均20%の減量効果となる。今後、調査に基づき、食品品目毎の適正な規制値を検討していく。

 また、不要なプラスチックを削減するため、プロモーションでのセット販売での「1個無料おまけ」での追加包装、販促グッズおまけ添付での包装、3個以下のセット販売でのラッピング包装の3つについては禁止する。但し、テープだけでセット販売の接着をする場合や、追加での包装を伴わないものついては禁止対象から除外する。禁止開始時時期は、2021年1月からとするものの、判断が難しいものもあるため3月にガイダンスを発行。中小企業に関しては7月から禁止にする。過剰包装に関する禁止制度も導入する。

 また使い捨てビニール袋に関しては、現在は大規模店舗やスーパーマーケットだけが使用の禁止対象となっているが、2030年には禁止対象を小売以外も含めた全業界に拡大する。それでも使い捨てビニール袋が必要な場合には、再生プラスチック素材の含有率についての基準を導入する考え。

 次にリサイクルでは、まずペットボトルに関しては、大規模マンション等では2022年から分別回収箱の設置を開始。その後には、他のプラスチック廃棄物についても分別回収制度を導入する考えだが、各自治体の状況やリサイクル企業の状況に応じて柔軟に制度設計を行うという。分別回収箱の設置が困難な戸建住宅等では、廃ビニールや発泡スチロールの回収曜日を設定し、集合回収する。

 映画館等の商業施設では、回収・圧縮機を設置し、ペットボトルや空き缶を回収すると、市民にエコマイレージを支給する制度を試験導入する。

 またペットボトルの生産側でも、2019年12月から飲料ボトルのみに適用されている透明ペットボトルの使用義務を他のPET製品にも拡大。またラベルなしのペットボトルで製品を提供する場合は、現在1kg当たり147ウォン課しているリサイクル分担金を50%軽減する。これらの措置により、リサイクルが難しい廃棄物の割合を現在の34%から2025年には15%へと大幅に削減する。

 使い捨てカップに関しては、2022年6月からデポジット制度を導入。店頭に返却するとデポジットの返還が受けられるようになる。

 廃棄物のリサイクルでは、現在、紙、ガラス、鉄のみ適用されたている再生原料の使用義務化を2021年からプラスチックにも適用し、2030年には再生素材の使用率が30%となるよう段階的に義務化基準を設定していく。再生素材の使用事業者に対しては、拡大生産者責任の分担金を減免し、インセンティブを付ける。さらに需要喚起のため、自治体には再生素材を活用した製品の購買を義務化するとともに、消費者向けには含有比率をパッケージ等に開示することで可視化する。

 リサイクル施設の増強では、熱分解型の公共のケミカルリサイクル施設を2025年までに10基に拡充。加えてケミカルリサイクルでのメタノールやナフサ生産の産業クラスターと、廃プラスチックからの水素生産技術の確立のため、2021年に15億ウォンの予算を組んだ。一方、マテリアルリサイクルに関しては、品質基準を設け、低品位のペレットの流通を防ぐ。

 プラスチック廃棄物の海外からの輸入は、6月にPET、PE、PP、PSの4種のプラスチックの輸入を禁止したのに続き、2022年からは禁止対象が全プラスチックに拡大される。

 一方、リサイクルしたプラスチック製品の輸出は拡大を狙う。韓国環境産業技術院は、リサイクルマーク認証を促進。輸出規模を現在の300億ウォンから2025年まで500億ウォン規模で増やす。

 これらを通じて、2025年までに、プラスチック廃棄物を20%削減し、リサイクル率を現在の54%から2025年までに70%に引き上げる。

 3つ目の代替素材の開発では、100%バイオ素材のバイオプラスチックを徐々に増やしていくとした。これにより、プラスチックからの二酸化炭素排出量を2030年までに30%削減し、2050年までのカーボンニュートラルを目指す。

【参照ページ】플라스틱 전주기 발생 저감 및 재활용 대책 수립

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。