デンマークのダン・ヨルゲンセン気候・エネルギー・供給相は12月4日、デンマーク政府として、北海での石油・ガス開発を2050年までに禁止する方針で同国国会と合意に達したと発表した。気候変動対策の一環。デンマークは、英国及びノルウェーと並ぶ北海での資源開発大国。今回自主的に北海でのエネルギー資源開発の幕を閉じる決断を下した。
今回の決定により、現在予定されていた第8次オフショア開発ライセンスの発給を全面禁止し、2050年までにすでに発行しているライセンスも停止することとなった。デンマークは、1972年に北海での石油・ガス開発を開始。そのおかげで今も西欧第3位の石油・ガス産出国だが、2000年代前半からすでに生産量は大きく減衰しており、2018年には25年ぶりに、石油の純輸入国に転じている。
デンマークの石油・ガス資源開発では、トタルの存在感が大きい。デンマークの海底エネルギー資源開発は、デンマーク・アンダーグラウンド・コンソーシアム(DUC)が1972年に発足し、海底石油・ガス開発の90%を独占。エネルギー各社は、同コンソーシアムに出資する形で権益を獲得しており、トタルがそのうち43.2%の権益を持つ。
DUCの権益持分は近年大きく変化しており、2018年には、シェブロンが保有していた権益12%全てを買収し、当時の持分比率31.2%から43.2%へと大きく増加。また、ロイヤル・ダッチ・シェルが保有していた権益36.8%は、2020年7月にノルウェーNorecoが全て買収。残りの20%の権益を、デンマーク国有企業Nordsofondenが保有している。
デンマーク政府は2019年、第7次ライセンス発給の公募入札結果を発表した。Nordsofonden、DONG Energy(現オーステッド)、エジソン・インターナショナル、Hess、Wintershall及び小規模事業者複数が、各々申請した鉱区でライセンスを獲得していた。
ヨーロッパではすでに、フランス政府が2017年に石油・ガス開発の新規ライセンス発給を禁止し、2040年までに化石燃料生産を全廃する政策を決定。アイルランドも2018年に石油・ガス開発を禁止する政策を発表済み。
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