独自動車大手ダイムラー・トラック、イタリア自動車大手イヴェコ、スウェーデン自動車大手ボルボ・グループ、蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、オーストリアエネルギー大手OMVの5社は12月15日、欧州での燃料電池(FC)トラックの普及に向けたイニシアチブ「H2Accelerate」を設立したと発表した。トラック燃料を脱炭素化する。
5社は今回、FCトラックを大規模に普及させることで、グリーン水素生産設備、大規模な水素供給システム、水素補給ネットワーク、FCトラック製造等の大規模な市場創造が見込めると発表。2020年代を通じて、調和の取れた投資を行うことで、欧州が2050年までにカーボンニュートラルを達成するために必要となる大型車の水素燃料が実現できると話した。
同イニシアチブは、フェーズ1として、欧州全域でFCトラックを数百台走らせ、大容量水素補給ステーションを20ヶ所以上に設置。FCトラックを安定走行させるコンセプトを確立することを狙う。また2020年代後半にはフェーズ2として、FCトラックを年間数千台を生産し、早急に1万台走行体制にし、欧州全域の主要幹線道路で大規模な水素補給ステーションを整備。信頼性の高いモデルを構築するとした。
H2Accelerateは、その実現のためには、政府投資が必要とし支援を求め、特に2020年代前半の商業化前のプロジェクトに対し、資金投入を要請した。また参加5社は各々でも規制当局と協議し、市場環境の整備に動く。
一方、トヨタ自動車は12月11日、北米子会社Toyota Motor North America(TMNA)から、燃料電池大型商用トラックの新型プロトタイプを初公開した。新型「MIRAI」に搭載している第二世代FCシステムを採用し、将来の量産化を見据え、パフォーマンスと柔軟性を大幅に向上させた。荷重量は80,000ポンド(約36t)、航続距離は300マイル(約480km)以上。
(出所)トヨタ自動車
トヨタ自動車は2017年から、ロサンゼルス港湾地域で商用FCトラックへの実証を開始、12月からはロサンゼルス市港湾局が中心となって進める貨物輸送の「ゼロ・エミッション化」プロジェクトで2019年に公表したケンワースのトラック「T680」をベースにしたFC大型商用トラック(第一世代FCシステム搭載)の貨物運送会社への納入を開始した。
また、独自動車部品大手ロバート・ボッシュは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の生産で、英セレス・パワーとの提携を強化し、2024年から本格生産を開始すると発表した。年間生産は200MWを見込み、2024年までに数億ユーロを投資する。生産拠点は独バンベルク、ハンブルク、ヴェルナウ。開発拠点はシュトゥットガルト市フォイエルバッハとレニンゲン。
生産するSOFCは、小型で分散展開が可能なタイプ。家庭でのバッテリーを主用途としているが、連結されることで自治体、工場、商業施設、データセンター、電気自動車(EV)充電ステーション等でも展開できると想定している。ボッシュは、2030年までに分散型発電所市場は200億ユーロ規模にまで拡大すると見通しており、SOFCの量産に入る。すでに過去1年間で、エンジニアを150人増やし、250人体制に拡大している。
【参照ページ】H2Accelerate – new collaboration for zero emission hydrogen trucking at mass-market scale
【参照ページ】トヨタ、米国LA港プロジェクトで、新型の燃料電池大型商用トラックを公開、新型MIRAIのFCシステムを新たに搭載
【参照ページ】Stationary fuel cell: Bosch plans to start full-scale production in 2024
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