食品世界大手スイスのネスレは12月7日、インドネシア・アチェ州のパーム油サプライチェーンにおける「森林フットプリント」を開示した。同社は、特定地域でのパーム油サプライチェーンの森林フットプリントを開示した世界初の企業となった。
森林フットプリントとは、原材料調達等のサプライチェーン全体で森林破壊のリスクの高い森林と泥炭地の総面積。同社は今回の発表に際し、すでに森林破壊を引き起こしている場所を振り返るだけでなく、森林破壊の未来リスクを特定する必要があると断言。森林再生を積極的に実施するサプライヤーから原材料を購入することで、森林ポジティブを目指すとした。
今回特定されたリスクの高み面積は、森林が89,667ha、泥炭地が8,000ha。さらに搾油工場から50km圏内に広がり、アブラヤシ栽培に適した森林地帯も145haあり、森林破壊リスクが高いとした。同社事業地のあるアジア最大の熱帯林の一つである「ルーセル・エコシステム」も、リスクが高いと特定した。
これらの地域では、今回の改定ではまず、高保護価値(HCV)の森林地帯ではパーム油プランテーションを行わない「高炭素貯留アプローチ(HCSA:High Carbon Stock Approach)」の導入と、現地住民との「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)の双方で、サプライヤーに対するデューデリジェンスを強化するとコミットした。
同社は、すでに人工衛星を用いたリスク・モニタリングを実施しているが、効果的な戦略を展開するには、さらに正確なデータが必要ということにも言及。具体的には、プランテーションと搾油工場の関係性、パーム油生産と搾油工場の親会社の特定、搾油工場の設備能力の空き等を挙げた。
他にも、農場境界等のプランテーション・トレーサビリティ(TTP)、泥炭地や開発禁止(モラトリアム)地の正確な範囲、土地利用計画、所有権や使用権に関する地理情報、地域コミュニティと企業との紛争に関する地理情報等については、データ不足を指摘した。
今回の発表について、国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、「重要な前例となる」と歓迎した。
【参照ページ】Towards a forest positive future
【参照ページ】声明:世界初、ネスレ「森林フットプリント」開示を歓迎
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