菅義偉首相は12月4日、記者会見を開き、新型コロナウイルス・パンデミックからの経済回復からの端として「グリーン」と「デジタル」を位置づけると発表。同様の方針は、EUも最高意思決定機関の欧州理事会が3月に掲げており、日本もEUの後を追う。
【参考】【EU】欧州理事会、新型コロナからの出口戦略に向け「グリーン転換」への準備で合意(2020年4月3日)
今回の発表では、菅首相が所信表明演説で伝えた2050年カーボンニュートラルについて、「我が国が世界の流れに追いつき、一歩先んじるためにどうしても実現をしなければならない目標」と明言。「環境対応は、もはや経済成長の制約ではありません。むしろ、我が国の企業が将来に向けた投資を促し、生産性を向上させるとともに、経済社会全体の変革を後押しし、大きな成長を生み出すもの」と所信表明演説時の要点を繰り返した。
具体的な方向性としては、2兆円のカーボンニュートラル基金を創設。野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続支援する。大規模で低コストな水素製造の実現や、水素飛行機や水素の運搬船の開発も掲げた。また、蓄電バッテリーも「脱炭素の鍵となる」と言及。カーボンリサイクル技術にも触れた。自動車についても「自動車から排出されるCO2をゼロにすることを目指」すとし、ハイブリッド車ではなく、電気自動車への移行を進める考えも披露した。
さらに同分野への民間投資を後押しするため、「240兆円の現預金を活用を促」すとし、銀行融資を増やしていきたい考え。同日開催された経済財政諮問会議では、麻生太郎財相から予算編成の建議の中に、「ESG投資等、民間の投資資金の活性化及び活用等を強化していくため、情報開示に係るガイドラインなどの整備を進めていく必要」も盛り込まれていた。
また、デジタルでも、1兆円規模の経済対策を言明。6Gで世界をリードする研究開発への意気込みも見せた。行政機構としては、デジタル庁を2021年秋に始動。民間からも100名規模の高度専門人材を招集する意向をあらためて伝えた。
【参照ページ】菅内閣総理大臣記者会見
【参照ページ】第18回会議資料:会議結果 令和2年
【画像】首相官邸
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