英複数のメディアは11月21日、英公的医療制度・国民保健サービス(NHS)のイングランドでのワクチン接種計画の概要を報じた。同時点ではNHSからの正式発表はないが、マット・ハンコック保健相手は、同計画について、あくまで「ファイザー/BioNTechが開発したワクチンに対し、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の承認が得られた場合」の計画と強調している。
今回報じられた計画は、4月下旬までには18歳以上の希望者全員に投与するというもので、優先順位と予定時期も決まっている。
- 介護施設の入所者と職員および医療関係者:12月上旬に開始
- 80歳以上の高齢者:12月中旬に開始
- 70歳~80歳の全ての人:12月下旬に開始
- 65歳~70歳の全ての人:2021年1月上旬に開始
- 65歳以下の全ての中・高リスク者:1月上旬に開始
- 50歳~65歳の全ての人:1月中旬に開始
- 18歳~50歳の全ての人:1月下旬に開始、しかし大多数の人は3月中の接種を想定
中・高リスク者とは、呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、糖尿病等の基礎疾患のある人を指す。優先順位の高いグループには2月下旬までに接種する予定で、このグループには500万人から600万人の無報酬の介護者が含まれる可能性があるとしている。
ファイザーワクチンの最新情報としては、第3フェーズ臨床試験において、新型コロナウイルス感染症の発症予防で95%(65歳以上の高齢者は94%)の有効性が11月18日に発表され、ファイザーは近日中に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請するとしていた。NHSの投与スケジュールは、MHRAがファイザーワクチンの安全性と有効性を改めて精査し、ゴーサインが出された後に開始することになる。
なお、同ワクチンの特徴として、-75℃程度の超低温保存が必要とされるが、この点については承認後、直ちにベルギーにあるワクチンの生産工場からドライアイスを挿入した二重梱包のフリーザーボックスで輸送することになっている。
英国に到着後には、非公開の場所にある50カ所の医薬品保管倉庫ネットワークに搬送され、保管される。この流通網は、通常16,500か所の病院、薬局、ヘルスケアセンター向け医薬品の92%を供給しているフローと同じ。
注文が入り次第、保管倉庫にあるワクチンは3時間で解凍されるように設計された小さなバンガローほどの大きさの特別仕様の巨大冷蔵庫に移され、解凍と同時に冷蔵車で配送される。優先されるグループへの接種は、少なくとも1,560カ所あるファミリードクター(GP)の拠点を中心に数千カ所で行われる予定。
2019年のイングランドの人口は約5,630万人。英国政府はイングランド向けのファイザーワクチンを初回分として4,000万回分、11月16日に94.5%の有効性が発表されたモデルナワクチンを500万回分発注しており、さらに、オックスフォード大学・アストラゼネカが開発したワクチンの使用も視野に入れている。
しかし優先的に接種されるグループだけで2,000万人から2,200万人が想定されており、各人に2回の投与が必要なため、NHSはファミリードクター等の関係者に対し、ワクチンの無駄を5%以下に抑えるよう強く要請している。特にファイザーワクチンは温度管理が難しく、配送と接種を「ジャストインタイム」にするには、戦略的なロジスティックが求められるという。
【参照ページ】Covid vaccine: NHS could start using jab next month, says Hancock
【参照ページ】UK approval process for Pfizer vaccine under way
【参照ページ】Pfizer and BioNTech conclude phase 3 study of Covid-19 vaccine candidate, meeting all primary efficacy endpoint
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