世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は11月19日、欧州での新型コロナウイルス感染症者数の拡大について記者会見を開き、現状について3つの見解を伝えた。WHOは、米州、欧州、アフリカ、南東アジア、東地中海、西太平洋地域の6つに地域事務局をおいている。日本は、フィリピン・マニラに本部がある西太平洋地域に属している。
クルーゲ局長は今回、欧州地域では累計で1,570万人が感染し、35.5万人が死亡。そのうち11月だけで400万人が感染したと状況を報告。世界全体でも欧州が占める割合は、感染数で28%、死亡者数で26%で、過去2週間の発症率は、80%の国で10万人に100人以上、3分の1の国では10万人に700人以上にまで増えていると警戒感を伝えた。スイスではすでに救急病床が満床、フランスでも病床稼働率が95%以上になっているという。
クルーゲ局長は、見解の1つ目として、ロックダウン(都市封鎖)の可能性について言及。マスクは万能ではないとしながらも、マスク着用率が95%以上であればロックダウンは不要で、60%未満であればロックダウンは避けられないとの考えを披露した。その上で、各国の政治家は、早急に活動制限を解除しすぎる傾向にあると是正を促しつつも、妥結点としてマスク着用を徹底させることを最低限すべきと示唆した。
2つ目はワクチンについてで、ファイザー・BioNTech連合とモデルナが開発したワクチンにより、新たな希望が生まれてきたことを歓迎。但し、希望が現実になるまでには、全ての国がワクチンにアクセスでき、公正に行き渡るまでは安心できないとした。そのため、小規模の発生で発症を隔離するため、検査が重要とした。
最後は、子供について。11月20日の「世界こどもの日」に言及しつつ、子供は主要な感染ルートではないことを十分に考慮し、安易な学校閉鎖を牽制した。学校閉鎖については、授業の遅れや、精神・社会衛生上の悪影響ももたらすと発言。学校閉鎖を実行する場合は、社会的支援が必要な子供を十分にケアするよう求めた。
【参照ページ】Statement – Situation update on COVID-19: doing our share, a new horizon with technological and pharmaceutical development, and preserving the rights of children
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