デンマークで11月4日、毛皮用の家畜として同国北部で飼育されているミンクから、新型コロナウイルスの変異種が発見され、人への感染も確認されたことから、政府は国内飼育のミンク前頭を殺処分すると発表。同国内の全1,080以上の飼育場で、合計推定1,500万匹から1,700万匹のミンクが殺処分されることとなった。
しかし、その後、同国の法律では、感染地域外に同命令を適用させる法的根拠がなかったことが判明し、フレデリクセン首相は11月10日、発表を撤回し、新法制定を目指すと表明した。同時に、感染地域では、約250万匹が殺処分された。デンマークは、ミンク飼育量世界一で、世界シェアの40%を占める。毛皮の出荷量は年間1,900万枚に及び、輸出額は11億ユーロ(約1,400億円)にも上る。そのため殺処分には、畜産業から大きな反発が出ている。
世界保健機関(WHO)の11月6日の発表によると、同国でミンクから人に新型コロナウイルスが感染した症例はすでに214人で、そのうち12人からは変異種が見つかった。変異種感染は全員が北ユラン地域からで、感染者は7歳から79歳までと多様。そのうち8人はミンク畜産業との関連性があり、4人は飼育地域での感染だった。
WHOは今回の変異種を「クラスター5」と命名。致死率や感染力は、今のところ、現在蔓延している新型コロナウイルスと同等と見立てた。但し、変異種の背景や症状等はまだよくわかっておらず、早急な研究を推進する考えを示した。またデンマーク政府による感染防止策が取られていると言及した。
新型コロナウイルスがミンクに感染した症例自体は、珍しくはなく、すでに国際獣疫事務局(OIE)には、デンマーク以外にも、オランダ、スペイン、スウェーデン、イタリア、米国からも報告されている。
WHOは今回、各国政府に対し、国際的な情報共有を促進するとともに、動物から人への感染についても監視を強めるよう求めた。
【参照ページ】SARS-CoV-2 mink-associated variant strain – Denmark
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