製薬大手英グラクソ・スミスクライン(GSK)は11月3日、新たな環境サステナビリティ目標として、サプライチェーン全体を通じて、2030年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)及び自然環境へのネットポジティブインパクトを実現すると発表した。同目標は、原則として同社の全事業に適用する。
同社は今回、目標達成のためのターゲットを設定。全拠点での100%再生可能エネルギー活用や水スチュワードシップ・アクション、100%サステナブル調達の実施、森林破壊ゼロ、販売拠点での100%電気自動車(EV)活用への転換等を掲げた。科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)からも1.5℃目標に整合性があるとして削減目標を承認済み。今回の設定目標では、主に自然環境へのインパクトの大きいバイオ創薬事業での改善がメインターゲットとなるが、大衆医薬品事業でも別途野心的な目標を立てに行くという。
同社は今回の目標設定に際し、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量、水消費量、廃棄物量、森林破壊関与等を包括的に分析。二酸化炭素排出量では、同社自身での排出量は全体の8%と非常に少なく、サプライヤーで48%、製品使用で38%とバリューチェーン上での割合が非常に多いことがわかった。水消費量も、同社自身は全体の3%のみで、サプライヤーで84%、製品使用で13%を占めていた。サプライチェーン・マネジメントでは、EcoVadisを活用する。医薬品での注射器等の廃棄物でも、2030年までに廃棄物を100%リサイクルもしくはエネルギー回収できるようにする目標も掲げた。
同社は2010年から環境インパクト削減を開始。2019年時点で二酸化炭素排出量34%削減、廃棄物の埋め立て78%削減、水消費量31%削減を達成済み。気候変動や森林減少は、熱波に伴う疾病の増加や、感染症・大気汚染の拡散、呼吸器疾患の悪化等に繋がり、人体の健康にも影響を及ぼすと指摘。今回発表の目標に向けた取り組みで、事業活動内で低減困難な環境インパクトや森林保全を実現するとした。
【参照ページ】GSK sets new environmental goals of net zero impact on climate and net positive impact on nature by 2030
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