セブン&アイ・ホールディングスは10月29日、ヴェオリア・ジャパン及び三井物産と合弁会社を設立し、西日本にペットボトルのリサイクル上場を新設する計画を発表した。年間の再生PETの生産能力は2.5万t。2022年の稼働を目指す。
設立する合弁会社の出資比率は、ヴェオリア・ジャパン51%、三井物産39%、セブン&アイ・ホールディングス10%。総投資額は70億円から80億円程度。セブン&アイ・ホールディングスがペットボトル廃棄物を回収し、ヴェオリア・ジャパンが提供する技術でリサイクルし、再びペットボトルを生産。三井物産が原料を追加調達する。
ヴェオリアは、独ロストックでペットボトルのリサイクル工場を運営しており、年間10億本のペットボトルを処理している。同工場では、米URRCが開発した「ハイブリッドUnPET法」と呼ばれ、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルを組み合わせた新しいリサイクル技術が活用されており、今回の西日本に設立する工場でも同技術が使われると考えられる。
ハイブリッドUnPET法は、低品質のペットボトル廃棄物でもリサイクルできることが特徴。リサイクルプロセスは、まず、粉砕してフレーク状にした後に温水洗浄して事前処理し、その後、フレークを苛性ソーダの溶液でコーティングし、加熱してフレークの表面を解重合する。次に、フレークを乾燥させ、乾燥した空気の向流下で連続回転オーブンに移動。そして、残留水酸化ナトリウムを弱酸洗浄で除去し、フレークの濯ぎと乾燥をする。高品質が求められる食品用パッケージにも活用でき、2013年には欧州食品安全機関(EFSA)も安全性を認めた。ヴェオリアは他にも、分別工程でTSA2という特許技術や、Liquisortという独自技術も持つ。
ハイブリッドUnPET法は、URRCが1996年に開発。2000年には米食品医薬品局(FDA)から、食品接触容器用途として許容できるとのオピニオンレター(NOL:No. Objection Letter)も取得した。2002年に米国内に最初の大規模工場を建設している。当初は英Cleanawayが西欧でのライセンス権を得ていたが、その後ヴェオリアがCleanawayからの事業買収を相次いで行った関係からか、現在はヴェオリアにもライセンス権がある。URRCによると、UnPET法はコカ・コーラ・カンパニーやペプシコとの契約実績もすでにある。セブン&アイ・ホールディングスは、早くからリサイクル技術の開発を進めてきた欧米企業をパートナーとして選んだ形となった。
ハイブリッドUnPET法は、温水や乾燥で熱エネルギーを必要とするため、ライフサイクル全体での二酸化炭素排出量が課題となるが、ヴェオリアは同技術について、「著しい削減効果がある」と伝えている。
【参照ページ】環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」循環経済社会の達成に向け 『PETボトルリサイクル工場』合弁会社設立に合意
【参照ページ】Scientific opinion on the safety assessment of the following processes based on Modified Hybrid URRC UnPET technology used to recycle post-consumer PET into food contact materials "CLR rPET", "PET to PET" and "Veolia"
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