経済産業省は10月9日、「革新的環境イノベーション戦略」の39テーマに紐づく経済産業省所管の国家プロジェクトを技術開発、技術実装、社会実装の分野で受託し、リスト公表に賛同した企業を「ゼロエミ・チャレンジ」企業として一覧リスト発表した。上場企業156社、非上場企業164社がリストに掲載された。掲載された企業は、今回作成された「ゼロエミ・チャレンジ」ロゴマークを使用することができる。
今回抽出された企業の判断軸となった「革新的環境イノベーション戦略の39テーマ」は、1月に首相官邸の統合イノベーション戦略推進会議で決定した「革新的環境イノベーション戦略」の中で定められている。設定のプロセスは、「エネルギー供給と、エネルギー需要等(運輸、産業、業務・家庭・その他・横断領域、農林水産業・吸収源)の全5分野について、重要かつ共通的な16の技術課題に分類し、GHG削減量が大きく、日本の技術力による大きな貢献が可能な39テーマを設定した」と説明されている。同会議でのとりまとめの過程では、「世界全体でのCO2等削減ポテンシャルが高いこと」「実現まで(コスト削減を含む)に長期間を要しリスクが高いこと」の2つを基準にすることが議論されていた。
そのうち今回のリスト化作業では、「革新的環境イノベーション戦略」の39テーマに紐付く経済産業省の4つの事業(直執行事業)と、28のNEDO事業をマッピングする形で作成し、各々の事業の受託企業をピックアップした。
経済産業省は、リスト化をすることにより、同分野への民間ファイナンスが拡大することや、株式インデックス等が開発することを期待している模様。イップ、策定過程では、リスト化だけでは不十分で具体的なファイナンス・ディールを創出するところまで導いていかなければならないことや、グリーンウォッシュ技術を適切に除外すること、網羅性と客観性を担保すること等の改善要望が上がったが、今回経済産業省は「明確な基準の下、機械的に企業が抽出できる形」を重視し、その他については今後の課題とした。今回の発表では、同リストを基に、企業・投資家・政府での対話の場を設定するとともに、同省のグリーンイノベーション戦略推進会議の場で年に1回程度、リストを更新していく。また今回、リスト化の対象から外れた他省庁のプロジェクトについても盛り込んでいきたいという。
また、日本経済団体連合会(経団連)も別途、二酸化炭素排出量削減に資する技術カタログを作成プロジェクト「チャレンジ・ゼロ(チャレンジ・ネット・ゼロカーボン・イノベーション)」を進めており、現在162社が署名機関としてリスト化されている。今回の経済産業省の「ゼロエミ・チャレンジ」にはそのうち75社が同時にリストに入った。
【参考】【日本】経団連、CO2削減技術整理「チャレンジ・ゼロ」構想発表。内容に不足感。国際理解得られるか不安(2019年12月11日)
加えて、経団連の環境安全委員会 地球環境部会国際環境戦略ワーキング・グループは10月9日、経済産業省が9月に策定した「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020」についてコメント声明を発表。政府にさらなる政策支援や財政出動を求めた。特に強調しているトランジション・ファイナンスについては「国際的理解を広げる」を政府に強く要望した。
【参照ページ】脱炭素社会の実現をイノベーションで切り拓く企業の取組を応援します
【参照ページ】「ゼロエミ・チャレンジ」企業リストの公表について
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