金融世界大手英HSBCは10月9日、2050年までに投融資ポートフォリオのカーボンフットプリントをゼロにするため、2030年までに産業転換を行う企業を対象に、総額7,500億米ドル(約79兆円)から1兆米ドル(約105兆円)の投融資を実施すると発表した。気候変動の分野に傾斜してファイナンスを実施していく。
HSBCは今回、2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)というパリ協定に基づく国際目標と整合性のあるファイナンスを実施していくと宣言。投融資先企業の二酸化炭素排出量を削減するための事業転換を積極的に促進し、必要な分野にファイナンスをすることで後押しする戦略を大きく打ち立てた。同社は2017年に、気候変動ファイナンスを1,000億米ドル規模実施すると表明していたが、今回期間を5年伸ばした上で、ファイナンス規模を10倍にまで引き上げた。
同社は、投融資ポートフォリオのカーボンフットプリントゼロを実現するための測定ツールとして、2° Investing Initiative(2°ii)のPACTAを採用することも表明。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに沿った情報開示を実施するとともに、投融資先にも同様にTCFDガイドライン情報開示を実施していくことを求めていくとした。同社は、2030年までに自社とサプライチェーン上で排出している二酸化炭素ネット排出量もゼロにする。
【参考】【国際】2°ii、銀行融資向け気候変動移行リスク評価ツール「PACTA for Banks」発表(2020年9月22日)
運用子会社であるHSBCグローバル・アセット・マネジメントでは、同社のベンチャー債券ファンドを通じ、クリーンテック・イノベーションが期待されるスタートアップ企業に総額1億米ドルの投資を実施。さらに2025年までに、気候イノベーション、再生可能エネルギー、自然資本型ソリューションを開発する企業に総額1億米ドルを寄付する。また、先に発表していた「HSBC Pollination Climate Asset Management」も、今回の戦略の一つとして組み入れた。
【参考】【イギリス】HSBC GAM、自然資本投資ファンドの設定でポリネーションと合弁設立。世界最大目指す(2020年9月6日)
またHSBCグローバル・アセット・マネジメントは、世界銀行及び経済協力開発機構(OECD)と協力し、「FAST-Infra」イニシアチブも運営。世界規模で持続可能なインフラ投資を推進していく。
【参照ページ】HSBC sets out ambition to build a net zero economy
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