東京電力ホールディングスの発電子会社・東京電力フュエル&パワーと中部電力の折半合弁会社JERAは10月13日、2050年に二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)に挑戦するためのアプローチ「JERAゼロエミッション2050」を発表。特に日本での事業については具体的なロードマップも示した。
JERAは、東京電力グループと中部電力の火力発電事業を2015年に統合した合弁会社。現在の国内事業での電源構成は、ガス火力発電71%、石炭火力発電15%、石油火力発電14%で、全て火力発電。また、海外では、台湾やインド、東南アジア、英国等で再生可能エネルギー発電も一部手掛ける他、ガス開発の上流事業にも参画している。
発電事業の二酸化炭素ネット排出量ゼロを実現するには、現在JERAが抱えている火力発電事業での排出量をゼロにしなければならない。そこで今回JERAは、火力発電をゼロエミッション化する道として、低効率石炭火力発電所の廃止、アンモニア混焼、水素混焼の3つで、低炭素化を図った上で、それでも残る排出量については、カーボンオフセットや、二酸化炭素フリーLNGを活用するとした。明言はされていないが、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)の活用が念頭に置かれていると考えられる。また同時に、洋上風力発電を中心に再生可能エネルギー発電も拡大していく意思を示した。
また今回のアプローチでは、国・地域毎にゼロエミッションを実現するためのロードマップを策定することと、イノベーションにより利用可能になった技術を順次投入することの2つも掲げた。
そのうち日本での事業については、今回ロードマップも示した。まず、2030年までに超臨界(SC)以下の石炭火力発電を全廃。これにより、原単位排出量を20%削減する。また2030年までにアンモニアと水素の混焼事業の実証を開始し、アンモニア混焼では2030年までに本格運用開始まで持ち込む。その後、2030年代前半にはアンモニア混焼率を20%、2040年代には専焼化にまで持っていく。一方、水素混焼では本格運用を2030年代に開始するが、水素の普及状況によっては、水素ではなく二酸化炭素フリーLNGの活用も視野に入れる。
JERAが今回示した方針は、高効率石炭火力発電所を維持しながら、アンモニアと水素の混焼率を増やしていくというもの。またガス火力についても高効率化を目指すという。これらの方針の下では、アンモニアや水素の生産工程での二酸化炭素排出量削減とCCUSの実用化が大きな鍵を握る。
【参照ページ】2050年におけるゼロエミッションへの挑戦について
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