英通信大手BTの年金基金BT年金スキームは10月8日、投資運用ポートフォリオでのカーボンフットプリントを2035年までにゼロにする宣言した。英国では企業年金基金からもポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を表明する機関投資家が出てきた。
BP年金スキームは、英国最大の企業年金基金で、運用資産総額は550億ポンド(約7.6兆円)。今回の宣言では、運用ポートフォリオ先の二酸化炭素排出量をスコープ1、スコープ2、スコープ3全てでゼロにするというもので、それに向け、ポートフォリオの入れ替えや、投資先企業へのエンゲージメントを実施していく。
同基金は、今回の決定に際し、2月に年金加入者向けのアンケートを実施。結果、74%が投資での環境・社会インパクトを考慮することに賛同し、65%は年金基金としての影響力を行使し、環境と社会にポジティブなインパクトをもたらしていくことにも賛同していた。しかし、財務パフォーマンスを犠牲にしても、社会・環境インパクトを追求するかについては賛成は48%に留まり、同基金は社会・環境インパクトと財務パフォーマンスを同時に追求することとした。
同基金は今回の決定に伴い、4つの具体的なアクションを設定した。まず、2035年までに年金加入者の多くが退職し、年金受給者となることに鑑み、債券中心の運用にしていくことを掲げた。また、運用委託先の外部運用会社の選定に際し、ネットゼロ目標を選定基準にしていくとともに、委託先の運用会社に対し、達成状況の報告を義務化する。さらに、ネットゼロ目標を実現するための議決権行使基準を策定するとともに、エンゲージメントでも翻意しない企業に対しては積極的に議決権を行使していく。また、政府や業界団体、他のステークホルダーに対するアドボカシーも活発化する。
BT年金スキームの設定母体であるBTは2018年、2045年までに自社での二酸化炭素ネット排出量をゼロにする目標を設定している。同年金基金よりも10年遅い目標となっており、今後目標の繰り上げが予想される。
【参照ページ】BT Pension Scheme sets 2035 net zero goal for its entire £55bn portfolio
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