欧州委員会は9月29日、「欧州原材料連合(ERMA)」を新たに発足した。様々なセクターの原材料バリューチェーンに関わる企業及び業界団体等150機関が加盟した。今後、欧州のレジリエンスや競争力強化に向け、持続可能な工業原材料の安定調達や、事業のエコシステムのための先端的な工業原材料の開発を進めていく。
今回発足したERMAは、欧州委員会が9月3日に発表した「重要原材料アクションプラン」に基づくもの。同アクションプランは、今後、工業原材料調達が産業界の大きなリスクとなると認識し、戦略的に重要原材料の調達や代替原材料の開発を進めていくこととした。同アクションプランでは、「EU重要原材料リスト2020」を定め、アンチモン、ハフニウム、リン、バライト、軽希土類、重希土類、スカンジウム、ベリリウム、シリコンメタル、ビスマス、インジウム、タンタル、ホウ酸塩、マグネシウム、タングステン、コバルト、天然黒鉛、バナジウム、原料炭、天然ゴム、ボーキサイト、蛍石、ニオブ、リチウム、ガリウム、白金族金属、チタン、ゲルマニウム、リン鉱石、ストロンチウムを対象物質として定義。その上で、各物質の主要産地を特定し、強靭なバリューチェーンの構築を目指すこととした。
同アクションプランは、米国、日本、中国等が、重要原材料の確保に向けすでに動き出していると指摘。その上でEUとしては、政府だけでなく、民間企業の投資も含めた形で、官民連携し重要原材料の確保を進めていく道を選んだ。その戦略の中心として位置づけられたのが今回発足したERMAとなる。
ERMAは、第1フェーズとして、最も重要性の高いレアアース及び磁石のバリューチェーンのレジリエンス向上に取り組む。特にバッテリーや風力発電の原材料に対する関心が高い。その後、他の重要原材料へとアクションの対象を広げていく考え。同アライアンスでは、各バリューチェーン上の障壁や投資の可能性を検討していく。リサイクルも大きな検討要素となる。
ERMAは、EUの機関である欧州イノベーション・技術機構(EIT)の原材料部門「EIT RawMaterials」が事務局機能を担う。加盟した大企業は、ルノー、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)、シーメンス、ヴァレオ、ABB、アングロ・アメリカン、アルセロール・ミタル等。
【参照ページ】EIT RawMaterials will manage newly launched European Raw Materials Alliance (ERMA)
【参照ページ】ERMA
【参照ページ】Commission announces actions to make Europe's raw materials supply more secure and sustainable
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