食品世界大手米カーギルは10月1日、同社カカオサプライチェーンのサステナビリティデータを公開するオンラインプラットフォーム「CocoaWise」をリリースしたと発表。同社からのカカオを購入する下流サプライチェーン向けに、トレーサビリティと透明性に関する情報を公開した。
同社は今回のフードサプライチェーンの可視化にあたり、サプライヤーとトレーサリビリティ関する情報を集中管理するためのデータベース「CocoaWise 360」を構築。そのデータベースから目的に応じて情報を整理し、今回の開示ツールを開発した。これにより、同社がカカオを調達する上流サプライチェーン企業と、同社からカカオを購入する下流サプライチェーン企業を結びつけ、食品、流通、小売企業が、持続可能な農業慣行、女性起業研修、家族への栄養管理等での農家に対する支援を打ち出しやすくした。
CocoaWiseは、複数のツールで構成されている。まずトレーサビリティについては、調達先としてコートジボワールの協同組合128ヵ所、ガーナの購入ステーション7ヵ所、カメルーンの購入ステーション11ヵ所の名前と場所をマップ上で公開。また、カカオ豆追跡機能「CocoaWise BeanTracker」では、カカオ豆の包装パッケージにバーコードを付与し、個々の農場を追跡できるようにした。
さらに、農家向けに農業技術や気象、市場情報を提供する「CocoaWise ProFarm」、農業協同組合向けに販売と管理のノウハウを提供する「CocoaWise ProCoop 」も提供。CocoaWise ProFarmは、地理情報、作物の健康情報、世帯や収入データ等を入力すると最適なアドバイスが表示されるツールで、これにより同時にカーギルは生産農家の一次情報を収集することができるようになった。加えて、現地のサステナビリティ状況をモニタリングするシステム「CocoaWise Insight」も提供し、森林密度、農法、森林再生活動、児童労働のモニタリングを実施できるようにした。
その他、資金フローの透明性については、農家が公正、正確、安全に支払いを受けることができるよう、モバイル金融ソリューション「CocoaWise eFinance」を提供する。
またカーギルは9月30日、バイオ燃料米Virentの低炭素バイオ燃料生成技術「BioForming」と協働し、カーギルのとうもろこし由来のぶどう糖を活用したバイオ燃料及びバイオ素材の生産の可能性を検証すると発表した。
Virentの技術では、植物中の糖を原料とし、燃料やパラキシレンを「ドロップイン原料」として生産できる。ドロップイン原料とは、既存の原油由来の燃料や原料と同等の性質を持ち、既存のインフラや設備をそのまま活用できる素材のこと。Virentは、とうもろこし、さとうきび、てんさい等の農産物、木材、コーンストーバー、バガス等由来のリグノセルロース等を原料とし、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、バイオパラキシレン、ベンゼン、トルエン等を生産することができる。
Virentは、今回の実証調査完了後、「BioForming」技術を用いたバイオ燃料やバイオ素材の量産化の検討に入る。当面は、食品であるとうもろこしを原料とし商業生産を行うが、最終的には、食品と競合しない木材、コーンストーバー、バガス等由来のリグノセルロースを原料とした生産へと移行していく考え。
【参照ページ】CocoaWise portal keeps sustainability data at the fingertips of Cargill’s cocoa and chocolate customers
【参照ページ】Cargill and Virent collaborate to study Virent’s BioForming® technology to produce biobased fuels and chemicals
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