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【国際】金融大手26社、生物多様性のインパクト測定で協定発足。測定手法策定の動きも加速

 金融世界大手26社は9月25日、事業運営と投資運用の中で生物多様性へのインパクトのプラスへの転換にコミットする宣言「生物多様性のためのファイナンス協定(Finance for Biodiversity Pledge)」を発足し、署名した。国連開発計画(UNDP)等が運営する自然環境アクションプラットフォーム「Learning for Nature」が主催したオンラインイベント「Nature for Life Hub」の中で発表した。アクサのグループCEOが署名機関を代表し、9月3日の国連総会生物多様性サミットの中でスピーチを行う。

 今回の協定は、国連生物多様性条約事務局が9月15日に、地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)を公表し、2020年までの10年間の生物多様性目標「愛知目標」が大幅に未達成に終わった中で発足した。2021年に開催される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向け、各国政府に対し生物多様性や生態系の保護を要求した形。

【参考】【国際】生物多様性条約事務局、地球規模生物多様性概況第5版を発行。愛知目標は全目標で未達に終わる(2020年9月26日)

 今回の協定に署名したのは、アクサ、アリアンツ・フランス、エイゴン・オランダ、ASRネダーランド、ラボバンク、トリオドス銀行、仏預金供託金庫、HSBCグローバル・アセット・マネジメント、Robeco、Mirova、NNインベストメント・パートナーズ、J・サフラ・サラシン銀行等。

 フォルクスバンク・グループのASNバンクと、仏預金供託金庫が提唱し、EU Community of Practice on Finance and Biodiversity(CoP F@B)に積極的に参加している金融機関からすぐに賛同を得た。

【参考】【EU】欧州委設立のCoP F@B、生物多様性の概念を金融に導入する手法の整理レポート発表(2018年11月26日)

 同協定は、2024年までに実施する5つのコミットメントで構成されている。内容は、知見の共有、ESG投資ポリシーの中に生物多様性を組み入れ投資先企業にエンゲージメント、事業運営と投資運用での生物多様性インパクト測定、生物多様性観点での目標設定、生物多様性観点での情報開示。同時に具体的に実施するためのガイダンスも今回発表した。

 また、オランダ金融大手ASNバンクの呼びかけで、Robeco、トリオドス銀行、オランダ開発金融公社(FMO)、ACTIAM、Triple Jumpが2019年末に共同発足したPartnership for Biodiversity Accounting Financials(PBAF)も同日、金融事業での生物多様性インパクトを測定するためのガイダンスを発表した。

 PBAFは、同様に金融機関での気候変動インパクトを測定するためにオランダ金融大手が発足したPartnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)の生物多様性版として設立された。気候変動の分野では、気候変動をもたらす要因の温室効果ガス(GHG)が国際的に定義されており、測定も比較的容易だが、生物多様性の測定は概念レベルから構築しなければならない。

 そこでASNバンクは、仏サステナビリティコンサルティングPRé ConsultantsとCREMと協働し、「金融機関のための生物多様性フットプリント(BFFI)」モデルを開発し、投融資での生物多様性インパクト測定の概念構築で先鞭をつけた。BFFIでは、ライフサイクルアセスメントのインパクト・アセスメント(LCIA)手法として欧州で開発されたReCiPeモデルと、欧州のデータベースExiobaseを活用し手法を考案し、PBAFでもそれが支持される形となった。

【参考】【オランダ】金融大手12社、投融資のカーボンフットプリント測定ガイドライン策定(2017年12月22日)

 ReCiPeでは、生物多様性喪失のファクターとして、カドミウム、硫黄酸化物(SOx)、窒素化合物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)、土地面積(使用と転換)、水、二酸化炭素、メタン、リン、パラジクロロベンゼン、多環芳香族炭化水素(PAH)の11物質を定めており、今回それらを測定することで、生物多様性のインパクトを測る。

 金融機関での生物多様性インパクト測定手法の開発では、フランス金融機関も動き出している。アクサ・インベストメント・マネージャーズ、BNPパリバ・アセット・マネジメント、Mirova、Sycomore Asset Managementの4社は1月、投資が生物多様性に与える影響を評価するためのツール開発イニシアチブを発足。9月23日にアイスバーグ・データ・ラボとI Care & Consultを、ツール開発のためのリサーチプロバイダーに選定した。

【参考】【フランス】大手運用会社4社、投資ポートフォリオの生物多様性インパクト評価プロジェクト開始(2020年1月31日)

【参照ページ】FINANCIAL INSTITUTIONS LAUNCHED FINANCE FOR BIODIVERSITY PLEDGE DURING UN EVENT
【ガイダンス】Finance for Biodiversity
【参照ページ】Nature for Life Hub
【参照ページ】Paving the way towards a harmonised biodiversity accounting approach for the financial sector
【ガイドライン】BFFI: Common ground in biodiversity footprint methodologies for the financial sector
【参照ページ】Case Study Report Biodiversity-positive investments in the Biodiversity Footprint Financial Institutions (BFFI)
【参照ページ】Iceberg Data Lab and I Care & Consult selected to provide first of its kind biodiversity impact measurement tool for investors

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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