国連生物多様性条約事務局は9月15日、生物多様性条約第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA24)及び第3回条約実施補助機関会合(SBI3)の特別バーチャル・セッションで、地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)を公表した。2011年から2020年までの生物多様性に関する20の国際目標「愛知目標」の達成状況の評価や、2050年ビジョンの達成に向けて必要な行動をまとめた。
地球規模生物多様性概況(GBO)は、生物多様性の状況について定期的に発行されている国際的な報告書。初版のGBO1は2007年に発行され、GBO2が2009年、GBO3が2010年、GBO4が2014年と続き、今回6年ぶりにGBO5を発表した。特にGBO5は、愛知目標の目標達成の最終年に発行され、同目標を総括するという大きな意味を持っている。
また生物多様性については、世界132カ国参加の「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」が2019年、世界の生物多様性の現状をまとめた初の包括的な政府間報告書「IPBES Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services(生物多様性と生態系サービスに関するIPBESグローバル評価報告書」を発行。人類活動によって今後数十年間で、史上最大の約100万種の動植物種が絶滅危機リスクに陥ると警告している。今回のGBO5は、IPBESの報告書に謝意を示するとともに、多くの知見を参照したことを伝えており、両者が協調しながら科学的知見を示す姿勢を生み出した。
【参考】【国際】人間活動により動植物100万種が絶滅危機リスク。気候変動も原因。国際機関IPBES報告(2019年5月14日)
(出所)環境省
環境省のまとめによると、愛知目標で掲げられた20の目標のうち、全ての詳細目標を達成した目標はゼロ。部分的に詳細目標を達成した目標が6つ。残りの14目標は全ての詳細目標で未達成で、散々な結果となった。未達成に終わった要因については、愛知目標に応じて各国が設定する国別目標の範囲や目標のレベルが、愛知目標と整合性がなく、そもそも国別目標を達成しても、愛知目標を達成できない水準だったことを挙げた。
2050年に向けての生物多様性に悪影響を与える要注意ファクターとしては、土地利用変化(LUC)、気候変動、乱開発、外来種、汚染の5つを提示。これら5つが現状のまま続けば、2050年までに生物個体数と種の多様性ともに大きく減退していくとの予測をまとめた。
(出所)GBO5
その上で、2050年に向けた変革ポイントとして、土地開発、農業、都市・インフラ開発、水消費、気候変動緩和、ワン・ヘルス・アプローチ型の感染症対策、食品、漁業の7項目で、必要な社会転換の内容を提示した。
【参照ページ】GLOBAL BIODIVERSITY OUTLOOK 5
【参照ページ】地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)の公表について
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