英食品大手アイスランドは9月16日、包括的なプラスチック消費・廃棄の状況を示したレポート「プラスチック・フットプリント」の2019年版を公表した。プラスチックの廃棄物やリサイクルの量を開示する企業は増えているが、自社ブランド製品と他社ブランド製品の双方でプラスチック消費の詳細を開示する企業はまだ世界的に珍しい。
同レポートでは、食品・非食品の包装を「一次プラスチック」、収縮ラッピングやカッター不要で開封可能な陳列用パッケージ(SRP)を「二次プラスチック」、パレット用のストレッチラップを「三次プラスチック」と定義。同社小売店舗で取扱いのある他社ブランドや自社ブランドについて、それぞれプラスチックフットプリントを算出した。さらに一次から三次までの消費量を及びリサイクル量を自社と他社のブランドに分けて開示した。
同社は2018年1月、2023年までに同社ブランドからプラスチック包装・容器を撤廃する目標を設定。国際環境NGOグリーンピースや地球の友(FoE)と協働し、プラスチック汚染の削減に取り組んでいる。
今回のレポートの中で同社CEOは、小売や製造業の中で包括的なプラスチック消費の開示をしていない企業が多いと指摘し、積極的に開示することで消費者が自社製品を購入してくれることにつながるとの期待感をみせた。そのため、政府に対してもプラスチック消費量の具体的な削減目標を定めることや、小売・製造業企業が、プラスチック消費やリサイクル量の開示を進めることが重要との考えを示した。
【参考】【イギリス】冷凍食品大手アイスランド、2023年までにプラスチック・パッケージを全廃
今回の発表を受け、英サーキュラーエコノミー推進NGOのWRAP(Waste & Resources Action Programme)は、アイスランドのプラスチック・フットプリントの開示を歓迎した。一方で、WRAPによると同様の動きは他社にも広がりつつあるという。
WRAPは、2025年までに40%削減を目指す目標「Courtauld Commitment 2025」を掲げ、衣服の資源利用量削減イニシアチブ「Sustainable Clothing Action Plan」や、サーキュラーエコノミー推進の英エレン・マッカーサー財団が運営するイニシアチブ「Plastics Pact」の英国支部「UK Plastics Pact」と協働している。UK Plastics Pactの加盟企業は、英国スーパーマーケットの95%、食品ブランドの65%の市場シェアを占めている。WRAPは、全加盟企業から集計した年間プラスチック包装・容器データを公開しており、最新の2019年度版データも、今後数か月で公開予定。
またWRAPは、プラスチック包装・容器の削減、再設計の実例も公表。食品・飲料業界では、食品廃棄の報告に伴い、すでに透明性が大きく進歩していると語った。UK Plastics Pactの加盟企業は今後、公開データの粒度を改善し、商品別の報告に取り組む見込み。
一方WRAPは、食品の保護と保存において包装が重要な役割を担うことにも言及。プラスチック以外への原料の切り替えの検討や、包装・容器以上に環境負荷が大きい食品廃棄への配慮も呼びかけている。
【参照ページ】Our Plastic Packaging Footprint
【参照ページ】WRAP response: Iceland's announcement on plastic packaging data reporting
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