エネルギー世界大手英BPは、2020年版の「エネルギー見通し」を発行した。エネルギーの電化傾向により、化石燃料離れが今後進み、エネルギー業界での大きな構造変化が起こるとの見通しを示した。さらにカーボンプライシングでの炭素価格の引き上げ等の政策が動員されると、エネルギー消費量の削減が継続的に下がるとの考えも伝えた。
BPの今年の「エネルギー見通し」は、現行の政策、技術、消費性向のままのシナリオ「現状(BAU)シナリオ」、2050年までにエネルギー消費量が2018年比で70%削減される「急速シナリオ(2℃シナリオ)」、消費性向がサーキュラーエコノミーやシェアリングエコノミーにシフトする「ネットゼロ・シナリオ(1.5℃シナリオ)」の3シナリオを用意。分析を実施した。BPは、いずれかのシナリオが現実的かは示しておらず、あくまでも想定シナリオと位置づけている。
(出所)BP
(出所)BP
3つのシナリオでは、2050年時点での一次エネルギー生産構成が大きく変化する。現状シナリオでは、石炭が多少減り、ガスが多少増えるという程度だが、急速シナリオとネットゼロ・シナリオでは、石炭はほぼゼロに近づき、再生可能エネルギーが大半を占めるようになる。またネットゼロ・シナリオでは、石油とガスも大幅に減少する。
特に石油需要では、現状シナリオでは2050年までに現在から10%減にとどまるが、急速シナリオでは55%減、ネットゼロ・シナリオでは70%減となる。この状況では、急速シナリオとネットゼロ・シナリオでは、新型コロナウイルス・パンデミック前の水準に今後戻ることはなく、世界の石油需要は2019年がピークだったということになる。また3つのシナリオでは、今後電気自動車(EV)化が進むため、全て輸送のための石油エネルギーは2025年中旬から後半にピークを迎える。
エネルギーの総需要では、今後世界の経済成長で増加していくとになるが、現状シナリオに比べ、急速シナリオとネットゼロ・シナリオでは、省エネへの投資が加速すると見立て、25%総需要が下がるとした。
BPは以前から、シナリオを想定したエネルギー業界の見通しを毎年発表しており、国際エネルギー機関(IEA)の見通しレポートとともに業界内で頻繁に参照されている。
【参照ページ】bp Energy Outlook 2020
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