米独立系シンクタンクのピュー研究所は9月21日、創設75周年を迎えた国連の実績に関する先進14ヶ国の世論調査の結果を公表。14カ国の中で日本の世論が最も国連を支持していないことがわかった。
今回の調査は、新型コロナウイルス・パンデミックの中で、国際協調がますます重要となる中、14カ国の全体での世論の反応や比較調査を行うために今年の夏に実施された。回答数は14ヶ国で14,276。
その中で、国連が貢献している分野に関する設問では、世界全体では、人権が76%、平和が74%、経済発展が65%が上位3つ。また、感染症対策や気候変動対策でも61%、自国と同様の関心を持つ国の国益の推進が59%、一般人が抱える需要への対応が53%、国際問題への有効な解決でも51%で、いずれのテーマでも過半数の人の支持が得られた。
しかし国別にみると回答の状況には大きな差が見られた。まず、デンマーク、スウェーデン、英国では、人権や平和への貢献では80%、それ以外でも概ね60%を超えており、国連への支持が非常に高いことがわかった。また、国連陰謀論も根強く、トランプ政権では国連との対立路線も強めた米国は、ドイツやフランスよりも国連への支持が高かった。欧米以外では、オーストラリアと韓国も対象となったが、人権と平和については、欧州以上の評価を得た。
それに対し、唯一違う反応を見せたのが日本。人権では57%、平和では65%と、世界全体の評価が高かった2テーマでも評価は中程度。さらに、感染症対策では41%、気候変動対策では50%で14カ国中支持率が最低。加えて、自国と同様の関心を持つ国の国益の推進が24%、一般人が抱える需要への対応が26%と著しく低く、国連に対する支持が非常に低いことが明らかとなった。
(出所)Pew Research Center
さらに、日本の世論の国連への支持はもともと他国よりも低かったが、近年は「国連懐疑派」とも呼べる状態が発生している。日本の世論の国連支持率は、東日本大震災のあった2011年に61%と最高点に達し、不支持率が27%と低かった。しかしその後、支持率は2019年には47%にまで低下。そしてパンデミックが発生した2020年の調査では、支持率29%に対し、不支持率55%と大きく逆転し、国連不支持派が半数を超えた。特にWHOの対応に対し不満があるという結果が出ている。
国際協調の状況については、米国でのトランプ政権の誕生、欧州での極右政権の台頭等により、欧米の状況が懸念されてきたが、それ以上に日本では国連に対する不支持が鮮明になってきている。
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