国際環境NGOの保険会社への脱炭素推進ネットワーク「Insure Our Future」は9月2日、英再保険大手ロイズ・オブ・ロンドンに対し、石炭関連及びタールサンド関連案件への損害保険引受を制限するよう求めるキャンペーンを開始した。保険大手では2017年以降、すでに19社が同案件への損害保険引受を禁止しており、同社にも続くよう求めた形。
石炭資源は、二酸化炭素排出量の最も多い化石燃料で、気候シンクタンクのクライメート・アナリティクスによると、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2020年までに石炭資源消費量を減少に転じさせ、2030年までに2010年比80%減、2040年までにゼロにすることが必要と試算している。一方、タールサンドは、石油資源の中でも最も二酸化炭素排出量が多く、気候シンクタンクのカーボン・トラッカーによると、タールサンドは一切開発すべきではない資源とされている。
Insure Our Futureの調査によると、石炭関連への損害保険引受を制限する自主ポリシーを策定した保険世界大手は19社に上り、すでにロイズ・オブ・ロンドン以外の欧州の保険大手は、すべて策定済み。ロイズ・オブ・ロンドンは2017年11月、石炭関連への投資については制限するポリシーを決定したが、制限対象となった投資資産は関連市場全体の2.5%にすぎず、ほとんど無意味との批判をInsure Our Future及びClientEarthから受けていた。またInsure Our Futureの調べでは、タールサンドへの損害保険引受を制限する自主ポリシーを策定した保険世界大手もすでに7社ある。
今回の声明では、ロイズ・オブ・ロンドンに対し、8月31日に契約期限を迎えたトランスマウンテン・パイプライン・プロジェクトに対する損害保険の更新をしないことを強く求めた。
Insure Our Futureに参加しているNGOは、350.org、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、グリーンピース、Friends of the Earth(FoE)、マーケット・フォーシーズ、Urgewald、シエラクラブ、DivestInvest、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)等14団体。
日本の損害保険会社大手では、気候変動観点で損害保険引受を禁止する自主ポリシーを策定しているところはなかったが、日本経済新聞の報道によると、SOMPOホールディングスの損害保険ジャパンは、12月から石炭火力発電の新設工事の保険引き受けを原則停止する方針を固めたという。
【参照ページ】LLOYD’S MUST WASH ITS HANDS OF COAL AND TAR SANDS
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