世界気象機関(WMO)は9月9日、2024年までに産業革命前と比べて気温が1.5℃上昇する月が出てくる可能性が70%あるとするレポートを発表した。新型コロナウイルス・パンデミックでも地球温暖化は止まらず、パリ協定が掲げる1.5℃未満の上昇に抑えるという国際目標の限度が目前にまで迫ってきている。
WMOが今回発表したレポート「United in Science」は、国連の諸機関の協力を得て、WMOが発表する包括的な気候変動報告レポート。発行は2019年に続き今年で2回目。今回は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国連環境計画(UNDP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)の政府間海洋学委員会(IOC)、グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)、英気象庁から情報提供を受けた。
現在の大気中の二酸化炭素濃度は、過去300万年間で最も高く、2016年から2020年までの5年間は観測史上気温が最も高い5年間となった。WMOの全球大気監視計画プロジェクトは、2020年上半期に世界410ヶ所で大気中の二酸化炭素濃度を観測したが、ハワイのマウナロアで414.38ppm、豪タスマニアのケープグリムで410.04ppmを7月に記録。各々前年に比べ3ppmほど上昇していた。新型コロナウイルス・パンデミックでの経済活動の停滞により、二酸化炭素排出量は減少したものの、大気中の濃度上昇は止まっていないことが今回わかった。
2016年から2020年までの世界平均気温は、1850年から1900年の産業革命前の平均に比べ1.1℃上昇。2011年から2015年までの平均と比べても0.24℃上昇した。パリ協定では世界の気温上昇を産業革命から1.5℃以内に抑えることを目標としているが、その限度が目前にまで迫っている。WMOは今回、2024年から2024年までの5年間で、1年でも気温が1.5℃を越える確率は24%、さらに5年平均でも1.5℃を越える確率は3%あると算出した。さらに、2024年までに1月以上1.5℃を越える確率は70%あるという。
さらに2016年から2019年までの氷河消失は1950年以来過去最大。海面上昇の速度も、2011年から2015年までと比べ、2016年から2020年の上昇は速まっているという。
2050年までに洪水リスクにさらされる人口は12億人から16億人ほどが現状から増加。2010年中旬でも深刻な水不足地域で生活している人が世界の人口全体の27%に当たる19億人いるが、2050年には27億にから32億人まで増えるという。
【参照ページ】United in Science report: Climate Change has not stopped for COVID19
【レポート】United in Science 2020
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