長期思考を上場基準とするロングターム証券取引所(LTSE)が9月9月、営業を開始し、上場銘柄の申請受付を開始した。構想から9年をかけ、米国に新たな証券取引所が誕生した。
ロングターム証券取引所は、『リーン・スタートアップ』の著者エリック・リース氏が2011年に同著の中で、長期思考の証券取引所の必要性を提唱。その後2016年から、同氏を中心に具体的に証券取引所を設立する計画が進み、2018年11月に証券取引委員会(SEC)に登録を申請。2019年5月に承認され、米国の23番目の法定取引所となった。
運営元は、同名のLTSEグループという株式会社で、リース氏がCEOを務める。LTSEグループは、Founders Fund、Collaborative Fund、アンドリーセン・ホロウィッツ等のベンチャーキャピタルから9,000万米ドル(約95億円)を資金調達した。証券取引所の社長は、米財務省、ニューヨーク証券取引所、マッキンゼーでの勤務経験のある弁護士ミシェル・グリーン氏。
同証券取引所は、金融市場に長期思考を促すため、5つの原則ベースの上場基準を設定しており、上場企業には遵守が要求される。それにより、長期思考の投資家を惹きつける。
- 幅広いステークホルダーと相互の成功のために果たす各々の役割を考慮
- 数年後、数十年後の成功を測定し、長期的な意思決定を尊重
- 取締役と経営陣の報酬を長期パフォーマンスに連動
- 取締役は企業の長期戦略にエンゲージし、監督
- 長期投資家とエンゲージ
ロングターム証券取引所は、重複上場も可能。当初は、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している企業の中で、長期思考を打ち出す企業の重複上場を目指すと見られる。
SECに登録している証券取引所は、他の証券取引所の上場銘柄もリアルタイムで売買できるため、初日には軽微なオペレーション上のトラブルもあったが、初日の出来高は283,765株で11億7,700万米ドル(約1,250億円)。LTSEグループには、ソフトウェア子会社LTSEソフトウェアもあり、取引用ツール「Very Simple Market」をリリースした。
【参照ページ】The Long-Term Stock Exchange goes live
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