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【国際】「DAC導入なければ食料価格が2050年に5倍に上昇」研究論文発表。DACの早期実装説く

 安定的な食料供給のためには、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)が必要と分析した研究論文が発表された。今後、脱化石燃料のためバイオエコノミー化が進む中、持続可能な農林業を実現するためには、DAC技術を確立することが重要とのシミュレーション結果を示した。

 今回の論文は、バージニア大学のジェイ・ハーマン氏が率いる研究チームが、8月24日に科学誌「Nature Climate Change」で発表したもの。今後の世界の人口増加、気候変動の物理的影響、気候変動緩和のためのバイオエコノミー化を考慮した上で、パリ協定の目標を達成するためには、DACが必要との結論を導いた。

 同論文では、米パシフィックノースウェスト国立研究所(PNNL)が開発したエネルギー、水、土地利用の統合評価モデル「Global Change Assessment Model(GCAM)」に、気温上昇による農業の収量低下や異常気象による農林業損害を追加した上で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表したの1.5℃実現の「ロー・オーバーシュート」シナリオと、「ハイ・オーバーシュート」シナリオの2つでモデルシミュレーションを実施した。

 その結果、DACがない条件では、人口増加と植生での炭素固定を活用したバイオエコノミー化による農作物需要増に対し、土地利用変化を抑制するために作付面積を拡大することができないことで食料需給が逼迫。2050年には、穀物価格が先進国で2010に比べて2倍から3倍、南アジア、東南アジアでは4倍、アフリカでは7倍にまで上昇する予測となった。世界の人口平均でも5倍の上昇となる。

 一方、現時点での技術水準と価格帯を前提にしても、2035年までに二酸化炭素排出量を合計で3Gt(2019年の世界排出量の7%)回収できると想定。それにより農地を拡大することで、生産量を上げ、食料価格の上昇を抑制できると説いた。

 但し、DACの導入により、DAC稼働のためのエネルギー消費量と水消費量は大きく増加していくこともわかった。そのため、DACに依存しなければならない状況を作ると、別の課題が出てくるため、早期にDACの実装を進めるべきと結論づけた。
 
【参照ページ】Food–energy–water implications of negative emissions technologies in a +1.5 °C future

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