公正取引委員会は9月2日、コンビニエンスストア本部と加盟店に対して実施した24時間営業及びドミナント出店の実態調査結果を公表。24時間営業の強制やドミナント出店の配慮を欠く断行は独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の恐れがあるとし、コンビニ大手8社に取引改善を要請した。
【参考】【日本】経産省、コンビニ大手3社の人手不足・加盟店満足度向上の行動計画進捗結果発表(2020年5月6日)
今回の調査は、加盟店に対し本部との取引条件や履行状況に関する調査を行う形で、コンビニエンスストア本部に優越的地位の濫用があるか否かを調査したもの。そのため、大手コンビニエンスストアチェーンの全加盟店57,524店を対象とした初の大規模実態調査を展開し、オンラインアンケートで声を収集した。回答率は21%だった。さらに、大手コンビニエンスストア8社、オーナー、コンビニエンスストア以外のフランチャイズ本部等及び業界団体に対する聞取り調査も実施した。
年中無休・24時間営業については、「引き続き24時間営業を続けたい」と回答した人は33.2%にとどまり、66.8%は「人手不足等により一時的に時短営業に切り替えたい」「一度実験してみたい」「時短営業に完全に切り替えたい」と回答した。契約上は、加盟店が望めば時短営業が可能となっているが、本部が交渉を拒絶しているとの回答が8.7%あった。そのため、公正取引委員会は、本部が一方的に交渉を拒絶する行為は、優越的地位の濫用に該当し得るとの判断を示した。
また、コンビニエンスストア本部が、特定地域での市場シェア獲得のために集中出店する「ドミナント出店」については、自店舗の出店後に付近に同一チェーンが出店したことによる影響に言及した加盟店は少なかったが、同一チェーンと競合した場合に日販が減少したとする声が目立ったという。さらに周辺に同一チェーンが出店する際に、加盟契約上は既存加盟店への配慮を盛り込んでいる場合でも「本部からは何も提案がなかった」との回答が62.3%と多かった。そのため、公正取引委員会は、約束を反故にし、一方的に出店する行為は優越的地位の濫用に該当し得るとの判断を示した。
公正取引委員会は、過去にも2回、実態調査を行っているが、「今なお多くの取り組むべき課題がある」と指摘。本部や業界団体に対し、改善を要請した。
【参照ページ】(令和2年9月2日)コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について
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