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【日本】経産省、企業の「サステナビリティ・トランスフォーメーション」で中間報告発表

 経済産業省は8月28日、2019年11月に設置した「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」での中間報告書を発表した。企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図る経営を「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」を名付け、企業と投資家が中長期での企業価値創造に資するための対話を行う上で必要となる「実質的な対話の要素」を抽出した。

 同検討会は、伊藤邦雄・一橋大学大学院特任教授が座長を務め、2014年の「伊藤レポート」、2017年の「伊藤レポート2.0」に続く第3段のレポートの作成を目指している。同委員会には、機関投資家と企業から多数の委員が入っているが、ブラックロック・ジャパン、フィデリティ投信、BNPパリバ証券と外資系の市場関係者が多数参加しているという特徴もある。

 今回の中間報告書では、伊藤レポート以降のROEを振り返り、日本企業のROEは改善しているが、その改善自体が、日本企業の中長期的な企業価値向上の循環には必ずしも繋がっていないとの見方を共有。さらにコロナ危機、第4次産業革命・DX、気候変動やグローバルサプライチェーンの寸断など「不確実性」の高まりを「経営環境の変化」と認識。稼ぐ力(企業のサステナビリティ)と、社会課題や将来マーケット(社会のサステナビリティ)の同期化「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」を重要テーマとし、特に企業と投資家の「対話の実質化」に課題を設定した。

 対話の実質化では、「対話の原則」「対話の内容」「対話の手法」「対話後のアクション」の4つの観点から要点を整理した。

 またこれまで企業と投資家の間の情報の橋渡し役を担ってきた証券会社のアナリストについては、パッシブ運用の拡大、EUの第2次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)に伴うリサーチ費用の削減、株式売買手数料の引下げ競争の影響で、付加価値の高いリサーチを行うことが一層難しくなっている問題を指摘。さらに、ESG投資の拡大や、業種横断的なビジネスモデルを展開する企業の世界的な増加により、従来のセクターアナリストでは、ESG 要素や業種横断的なビジネスモデルを展開する企業について、適切な分析が難しくなっているとの声も紹介し、大きな構造改革が必要との課題感を示した。

【参照ページ】「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」中間取りまとめを行いました

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