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【オーストラリア】BHP、気候変動ロビー活動見直しと文化遺産保護の株主提案を受諾。10月に決議へ

 オーストラリアESG投資推進NGOのACCR(オーストラリア社会的責任センター)は8月13日、資源世界大手英豪BHPに対し、気候変動の観点によるロビー活動や業界団体加盟の見直しと、文化遺産保護のために先住民族の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の徹底の2点を求める株主提案を提出した。BHPは即日受け入れを表明し、10月に開催される同社の株主総会で決議されることが決まった。

 ロビー活動及び業界団体に関する株主提案では、新型コロナウイルス・パンデミックの期間中にBHPが支援している業界団体の要求事項は、パリ協定と整合性がないと糾弾した。具体的には、経営難に陥っている資源セクターを救済するため、化石燃料開発への承認手続きの迅速化や、大幅な規制緩和等を求めている点が、化石燃料採掘を助長し、気候変動に悪影響を与えると指摘。問題視している業界団体としては、オーストラリア石油生産探査協会(APPEA)、オーストラリア鉱物評議会(MCA)、ニューサウスウェールズ州鉱業協会(NSWMC)の3つを挙げ、もしこれら3団体が脱炭素化への転換へと翻意しないのであれば、同団体から脱退とするよう要求した。

 もう一つの文化遺産保護の株主提案は、同業のリオ・ティントが5月、鉄鉱石採掘のため先住民族アボリジニーの46,000年前の遺跡を爆破したことが関係している。今回提案内容として、破壊のおそれのある事業活動の一時停止、先住民族が文化遺産への影響懸念を公言することを制限する全て契約条項の停止、加盟業界団体による文化遺産関連のロビー活動に対するBHPの期待の開示の3点を求めた。

【参考】【オーストラリア】リオ・ティント、46000年前の先住民族の遺跡を爆破。BHPは採掘計画を一時停止(2020年6月20日)

 これを受けBHPは、双方の株主提案を受諾し、株主総会決議にかけることを決めた。さらに8月14日、同社の「グローバル気候ポリシー基準」を公表した。その中で同社のアドボカシーの原則としてパリ協定の整合性を遵守することを公言。自社の活動を拘束する「指導原則」としては、「バランスのとれた」「事実ベースの」「焦点を絞った」「テクノロジー・コモディティ中立」の4つ原則を掲げた。

 特に今回公表した同基準の中では、「キャリーオーバー・クレジット」に対する不支持を表明したことが大きな注目を集めた。キャリーオーバー・クレジットは、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)で各国が獲得したクレジットを、パリ協定の基での目標達成に活用できるようにしようというもの。目下、パリ協定でのクレジット制度については、締約国会議(COP)の中で最終的な詰め作業が行われているが、多くの国は、パリ協定での二酸化炭素排出量削減努力を損なうとしてキャリーオーバー・クレジットを認めない方針。しかし、オーストラリア政府はキャリーオーバー・クレジットの受入れを強く主張しており、インド、ブラジル、ウクライナもオーストラリアに同調する流れになってきている。

 今回、オーストラリアの資源大手BHPが、キャリーオーバー・クレジット不支持を打ち出したことで、オーストラリア政府の対応に注目が集まっていくことになる。ACCRは、不支持決定に対し歓迎の意を評した。

【参照ページ】BHP Resolution: cease lobbying efforts on COVID-19 recovery which are inconsistent with Paris targets
【参照ページ】ACCR Shareholder Resolutions to BHP on cultural heritage and lobbying
【参照ページ】BHP backs away from Kyoto credits, issues new guidelines for lobby groups
【参照ページ】Global Climate Policy Standards

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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