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【国際】プラネット・トラッカー、持続可能な漁業に向けブルーボンド発行を提唱。内部留保での生き残り困難

 英金融シンクタンクのプラネット・トラッカーは8月20日、漁業の持続可能性への懸念と解決策としてのブルーボンド発行を提唱したレポートを公表した。健康な食生活を実現するため、魚介類の供給量を2050年までに118%増加させる必要がある一方、従来型の慣行の継続を前提とした「現状(BAU)シナリオ」では、漁獲量は低下が見込まれると警鐘を鳴らした。

 同レポートでは、世界の漁業関連企業の活動を分析し、水産資源の回復の実現性を検討するモデルを構築。企業の利益とキャッシュフローは6年目以降、「回復シナリオ」を下回り、17年目にはマイナスに転じると指摘。すなわち17目以降は、内部留保だけでは資金繰りが難しくなり、漁業事業者は外部資金に頼らざるをえなくなる。しかし、漁業事業者の多くは短期思考に陥っており、目先の利益を増やすことばかりに専念してしまっているという。

 ブルーボンドは、健全な海洋の実現のためのプロジェクトに調達資金の使途を限定する債券の俗称。グリーンボンドやソーシャルボンドと異なり、金融市場での公式名称ではないが、海洋分野に特化したブリーンボンドやソーシャルボンドとの一定の共通理解が得られている。

 プラネットトラッカーは、海洋保全プロジェクトを資金使途とする「ブルーボンド」が解決策になり得ると提言。同債券発行によりフリーキャッシュフローを捻出することで、漁業関連企業の短期的利益追求による乱獲を防止できるとした。

 ブルーボンドの発行に向けた課題としては、適切な発行体の合意取得、適切なモニタリングと規制、加工業と漁業の雇用への影響等があるものの、「ブルーエコノミー」発行のために包括的なマネジメント方針を打ち出すことで、地域の持続可能性と収益性を改善する兆しがすでに出ている。試算によると、持続可能な漁業に向けた投資対効果(ROIC)は9.2倍とのデータもある。

 漁獲量割当への合意については、欧州委員会が8月17日、西地中海の一部の水産資源に関する複数年政策を採択済み。漁獲制限と負債性ファイナンスを組み合わせたフレームワークは、漁業の収益性拡大と、食糧生産増を同時に実現できると自信を見せた。

【参照ページ】Blue bonds could finance a fish stock recovery, says Planet Tracker

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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