国際グリーンボンド基準策定NGO気候債券イニシアチブ(CBI)は8月20日、農業セクターでの気候変動緩和及び気候変動適応のためのグリーンボンド基準(CBS)を公表した。2019年2月から1年半を経て、ようやく策定に漕ぎ着けた。
農業は、気候変動と非常に密接な業種で、世界の二酸化炭素排出量の4分の1は農業から出ている。また気候変動による自然環境の変化や災害に適応できる農業の再構築も求められている。そのため、農林業の気候変動適応には年間で70億米ドルから76億米ドルの投資が必要とされているが、しかし、グリーンボンド発行の資金使途のうち農林業関連事業が占める割合は0.9%しかない。
今回の農業セクターCBSでは、適格資金使途として6つの分野を設定。各々について二酸化炭素排出量削減または気候変動適応に関連するプロジェクトを適格とした。
- インプット(土地、種子、肥料、エネルギー、情報)
- 資本財(土地、設備、倉庫)
- 作物転換(栽培・植林)
- 農業アウトプット(穀物、野菜、食物繊維、肉、乳製品等)
- 廃棄物マネジメント(堆肥化、残渣処理、リサイクル)
- 初期加工と販売前貯蔵
また農業バリューチェーン全体に占める今回のCBSのスコープとしては、生産に行為に直接関するものと、生産行為の気候変動緩和・適応に直接関係するもののみを対象とし、農業事業者の購入物の生産・輸送、二次加工、流通・ロジスティクス、包装、卸売・小売は対象外とした。また今回は農業のみを対象としたCBSのため、畜産はスコープ外とされた。
CBSは、パリ協定達成という高い基準で資金使途の適格性を設定することで知られる。今回も農業生産マネジメントについては、パリ協定との整合性のある削減推移レベルで合致するか、もしくは業界でのベストプラクティスであることを示せるか、という2つの尺度を設けた。
同基準は、CBSの策定プロセスに則り、2019年2月に策定を担うテクニカル・ワーキンググループ(TWG)が組成。産業ワーキング・グループ(IWG)からの意見を経た上で、2020年1月から3月までパブリックコメントを募集。それを踏まえて、今回初版の公式発行となった。IWGには企業からは、ラボバンク、クレディ・スイス、ニュージーランド銀行、ノルデア銀行、サステイナリティクス、ISS ESG、EYが参加。FAIRRやカーボントラストもIWGメンバーだった。
【参照ページ】Climate Bonds launches green criteria for agriculture investments: new industry sector under Climate Bonds Standard
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