年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月19日、第3回目となる2019年版の「ESG活動報告」を発行した。ESG投資のパフォーマンス、ESGエンゲージメントの成果、集団的エンゲージメントの参加状況に加え、昨年に続き気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく開示も実施。今年始めて、気候変動によるリスクと機会の資産横断的な評価も行った。
GPIFが選定している5つのESG株式インデックスでは、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数」「 FTSE Blossom Japan Index」「S&P/JPX カーボン・エフィシエント指数」「S&Pグローバル・カーボン・エフィシエント大中型株指数(除く日本)」では、過去1年と過去3年の双方で、全てベンチマークをアウトパフォームした。
一方、全アセットクラスに対して実施しているESGエンゲージメントでは、MSCIとFTSEの指数での対象上場企業のESGスコア改善度の国際比較を実施した。日本企業の平均でのランキングは、FTSEは世界7位、MSCIは4位で昨年のまま変わらず。日本企業のスコアは上がっているものの、想定的にはやや順位を落とす傾向となっている。FTSEでは、香港に昨年に追い越され、さらに今年は韓国が直後に迫ってきている。MSCIでは、5位の米国との差が過去3年間で縮まってきている。
気候変動によるリスクと機会の測定では、気候バリュー・アット・リスク(CVaR)の手法を採用。国内と海外で、株式でも債券でも各業種の政策リスクは同じ傾向にあることが示された。機会については、特許スコアに着目し、追い風となる程度を測定。日本の株式では、自動車業界に大きな機会が生まれるという分析結果となった。物理的リスクも同様にMSCI ESGリサーチのデータを活用しCVaRを算出した。
気温シナリオ毎のCVaRでは、1.5℃で最も大きなプラスの影響となり、3℃シナリオで大きくマイナスに作用すると算出された。
【参照ページ】「2019年度 ESG活動報告」を刊行しました
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