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【国際】新型コロナ、列車内感染率は隣席が最高値で次は同列座席。初の大規模調査報告

 中国で最も広範に利用され乗客数も最多の高速列車の通称G列車二等席内での新型コロナウイルス車内感染に関する大規模調査の結果が、医学雑誌「Clinical Infectious Diseases」で7月29日に発表された。中国疾病対策予防センター等のデータを基に、State Key Laboratory of Resources and Environmental Information Systemおよび中国の関連研究機関、そして英サウサンプトン大学世界人口プロジェクトの研究者らが分析した。

 調査は2019年12月19日から2020年3月6日まで実施。分析期間は2月25日までとされた。乗車した時点で既に感染していたとみられる患者(Index Patients:車内での感染源となった初発患者)は2,334人で、この患者たちの周辺、横3列、縦5列の範囲に0.13~13.8時間座っていた72,093人が分析対象者となった。分析対象者の平均乗車時間は2.1時間で、99.2%は8時間未満だったという。

 分析の結果、乗車後2週間以内に症状が現れ、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症陽性者と診断された人は234人で、感染率の範囲は0~10.3%と大きなばらつきが見られた。平均値は0.32%だった。I

 Index Patientsのすぐ隣に座った人の平均感染率は3.5%と高く、その隣の人は1.7%、3番目の人は0.4%だった。前列、後列に座った人の感染率は同列より低く、index patientsのすぐ前または後ろで平均0.2%だった。G列車の二等席は、通路の一方に三席、もう一方に二席という構造で、各座席の幅と奥行きがそれぞれ50cm、通路は60cm、前後の席との間隔が40cmだという。

 隣席の人のリスク比(relative risk:RR)は18.0で、列車の乗客全員との感染リスクの差は18倍という極めて高い値が示された。横方向に同列の人の平均感染率は1.5%、平均リスク比は11.2で、全体的には横方向、縦方向の距離があるほど感染率とリスク比が低くなっていた。index patientsの座席が窓際か中央か通路側かによる感染率の有意差は見られなかった。

共に乗車していた時間については、長時間になるほど感染率は高くなっていた。隣席の人は1時間あたり1.3%の増加率で全座席の最高値、分析対象者全員では1時間当たり0.15%の増加率だった。

 研究者たちにとって想定外だったのは、Index Patientsが降車した後、すぐに同じ席に座った1,342人のうち、後に陽性と診断されたのは1人のみで、0.075%という低い感染率だったことだという。

 同一の横列で感染率が高い理由について、座席間の距離が短いことに加え、前後の席と違いヘッドレストによって飛沫を防げないこと、隣席の人が家族や友人である可能性、トイレ等への移動によるウイルスの伝播などを挙げている。

 研究者たちは、今回の調査・分析を踏まえ、交通機関を利用する際には、できるだけ広いスペースの確保、特に横には2席以上のスペースを開けることと、乗車時間は3時間までにすることを推奨している。

 さらに、この調査結果を理解する上での留意点として、後に陽性と診断された234人全員が確実にこの車内で感染したとは断定できないし、列車内で働いていた人びとを通しての感染の可能性も否定できないとしている。また、マスクやフェイスシールド等の使用については不明だ。

 しかし、このような調査の限界があるにもかかわらず、本論文は横列のリスクを明示している点で非常に貴重だと思われる。日本では5月に専門家会議により「新しい生活様式」として、「食事の際には対面でなく横並びで」という提言がなされているが、横並びの感染リスクや安全性について、より多くの検証が必要とされているのではないだろうか。

【参照ページ】The risk of COVID-19 transmission in train passengers: an epidemiological and modelling study
【参照ページ】新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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