米第二巡回区連邦控訴裁判所は6月22日、腐敗防止で有名な米国の法律「連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)」について、米国外で行われた誠実なサービスを受ける権利に関する詐欺(Honest Service Fraud)であっても、米国の銀行を経由した送金が事案に関与していた場合、米国の裁判管轄権が及ぶとする判決を下した。これにより、FCPAの適用対象が従来考えられていたより幅広く適用されることとなった。
今回の裁判は、国際サッカー連盟(FIFA)と南米サッカー連盟(CONMEBOL)に所属していた2人のスタッフが、誠実なサービスを受ける権利に関する詐欺に関する共謀罪を問われたもの。メディア企業や広告代理店から賄賂を受け取る見返りに、大会に関する放映権やマーケティング権獲得の便宜を図った容疑がかけられていた。一審でも被告人が敗訴し、今回の二審でも敗訴だった。
同事案では、米国外の外国人が、米国外での腐敗行為に関与したものであり、原告側は米国には裁判管轄権がないと主張していたが、同裁判所は、米国の銀行を経由したことを理由にFCPAが禁止する「誠実なサービスを受ける権利に関する郵便・通信詐欺」が成立すると発表した。原告は、原告の国籍国であるブラジルでは同行為が「商業賄賂」に該当しないことを理由に不当としていたが、同裁判所は国籍国での腐敗関連法にかかわらず、FCPAのみで裁くことができるとした。
法律事務所世界大手米ベーカー&マッケンジーは7月18日、アジア太平洋の企業に対し、米国外の行為でもFCPAにより米国の裁判所で裁かれる道が開かれたと注意を促した。
【参照ページ】Global: US Second Circuit rules that US wire transfers are sufficient to confer US jurisdiction in commercial bribery prosecution – What does this mean for APAC companies?
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