英ボリス・ジョンソン首相は7月22日、重工業の脱炭素化に向け3.5億ポンド(約480億円)の助成プログラムを発表した。英政府は、2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を公式に法制化しており、今回の施策も、脱炭素に資する分野のイノベーションを加速し、英国グリーンイノベーションを主導する戦略の一環。
今回の発表は、英国の航空セクターを2050年までに二酸化炭素排出量ゼロにするために関係大臣、企業、業界団体、環境グループを結集して発足したマルチステークホルダー会議体「ジェットゼロ会議」の直前に発表された。新たなイノベーションを加速するため、政府として資金支援する。
今回の助成金では支給先として、4つの分野を決定した。まず、天然ガス・エネルギーから二酸化炭素フリー水素に転換し、産業プラント用の炭素回収・貯蔵(CCS)技術開発で1.39億ポンド。セメントやセラミック産業で排出される灰の再利用等、重工業での革新的な素材開発に関する13のプロジェクトに1.49億ポンド。建設産業での建設コスト削減と二酸化炭素排出量削減のための先進的な建材開発に2,600万ポンド。施工生産性や建物の質を高めるための19のプロジェクトに1,000億ポンドを助成する。
さらに、地球全体の気候変動モニタリングのための宇宙プロジェクトに対し、英宇宙局を通じて、新国家宇宙イノベーション・プログラムに1,500万ポンドを助成。自動車業界の省エネイノベーションにも1,000万ポンドを助成する。
さらに同首相は同日、新たな農業政策も発表した。英国がEUを離脱し、EU規制から開放されることを機に、新たな農家支援制度を導入する。特に、EUの農業支援制度の下で農家に義務化されていた環境対策については、すでに2017年の欧州会計監査院が環境効果がほぼないと判断しているものが含まれると指摘。無駄な対策から農家を開放することを強調した。
【参照ページ】PM commits £350 million to fuel green recovery
【参照ページ】Government to cut red tape for farmers as they plan for 2021
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