経済同友会の環境・資源エネルギー委員会は7月29日、2030年に日本の再生可能エネルギー(水力発電含む)の電源構成比率目標を40%を引き上げるべきとする提言レポートを発表した。日本の経営者団体の一つから、40%の目標が提示されたのは今回が初。同委員会の委員長は、AGCの石村和彦取締役。
経済同友会は今回、原子力発電所の再稼働が進まない状況では、2030年での二酸化炭素排出量削減目標という国際公約を達成するには、2030年に向けたエネルギーミックスの目標自体を変更し、再生可能エネルギーの比率を大幅に高める必要があると指摘した。
電源構成としては、2030年に、太陽光発電と風力発電で30%、水力・バイオマス・地熱等の発電の比率を10%まで高め、合計で40%とすべきとした。そのために、政府による明確な意思表示と政策誘導、民間企業による積極的かつ継続的な投資、国民の地球温暖化やエネルギーに対する意識変革と行動変容の3つが不可欠とし、日本のエネルギー自給率の向上も資するとした。
今回の提言では、国内での資金循環に着目したことも大きい。提言書では、火力発電は燃料費として海外に国富が流出すると課題視。再生可能エネルギーを推進することで、自国のエネルギー関連資産の拡大にもつながるとメリットを強調した。
原子力発電については、「原子力規制委員会の審査で安全性が認められたものは継続利用し、審査に不合格または寿命に達した設備は順次廃炉を進め、トータルでは原発への依存度を減らす「縮・原発」という立場をとっている」と言及しつつ、再稼働が困難な社会情勢の中では、すでに稼働中および稼働申請中の原発のみを考慮し、2030年目標は、政府が掲げる「20%〜22%」より、15%が現実的と試算した。
一方、達成に向けた課題としては、「発電コストの低減」「系統問題の解消」「バックアップ電源の整備」の3つを挙げた。コスト削減については、入札制度や今後始まるFIP制度の導入による削減効果を挙げつつも、工事費の問題にも言及。日本の地形では土地造成にコストがかかることから、工場やオフィスでの屋上太陽光発電を推進すること等を提言した。
系統整備では、エネルギー供給強靭化法で定めら得たプッシュ型の広域系統整備や、経済産業省と検討されている容量市場・需給調整市場に期待を示しつつ、丁寧な制度設計を求めた。
(出所)経済同友会
【参照ページ】2030年再生可能エネルギーの電源構成比率を40%へ
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