フランス環境連帯移行省は6月30日、農業での農薬販売量が2019年に大幅に減少したと発表した。フランス政府は2018年から健康・環境への悪影響の大きい農薬から販売量を削減していく政策を打ち出しており、今回2019年の使用量データが公表された。
フランスでは、事業者ではない家庭菜園等での農薬の購入、使用、保管が全て禁止される法律が2019年1月1日から施行。それもあり、農薬の2019年の販売量は、前年比44%減少し、減少量は28,000t。2018年には前年比18%増だったことを加味すると、2019年に大幅な減少を記録した。
特に、発がん性、変異毒性、生殖毒性(CMR)の懸念のある農薬の販売量については前年比50%以上減少した。CMRについては、ワイン産地ボルドーの有力な生産者組合「レ・ヴィニュロン・ド・テュティアック」が2019年5月、同年の収穫期からCMRの使用を禁止する方針を発表するなど、生産者側からの自主的な削減が大きく貢献した。
遺伝子組換え作物の生産時に多用されるバイエル(旧モンサント)製「ラウンドアップ」で有名なグリホサートの販売量は、前年比35%減少した。こちらも2018年には前年比11%増を記録していた。
一方で、生物的防除(バイオコントロール)と呼ばれる益虫等を用いた害虫除去は増加。人工農薬からオーガニック農法への転換が進んでいることがわかる。
フランスでは、国立食品環境労働衛生安全庁の勧告により、居住地から20m圏でのCMR懸念のある農薬使用禁止区域を設定する規制が2019年12月に行政命令(デクレ)改正の形で発令され、2020年1月から施行されている。これにより、2020年もさらにCMRの使用は減るとみられている。また、グリホサートに関しては、マクロン大統領は2021年までに使用を禁止する政策を掲げている。すでに2019年1月にラウンドアップの販売は禁止されているが、例外購入が認められており、使用も認められている。
【参照ページ】Plan d’actions sur les produits phytopharmaceutiques et une agriculture moins dépendante aux pesticides : baisse sensible des ventes en 2019
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