米民主党のジョー・バイデン大統領候補は7月14日、大統領選挙に向け、4年間で2兆米ドル(約220兆円)の気候変動投資計画をコミットする公約を発表した。気候変動対策を進めることが米国の産業競争力強化に繋がると力説した。新型コロナウイルス・パンデミックにも触れ、持続可能なインフラ整備の重要性も伝えた。
発表した投資分野は、インフラ、自動車、不動産、輸送、電力、農業、イノベーション等多岐にわたる。二酸化炭素排出量目標では、2035年までにネット排出ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す。また自動車産業の気候変動転換も進め、21世紀の競争力を確保するとともに、中産階級にとって恩恵が生まれる形で気候変動転換の産業政策を進める方針を示した。
今回の発表では、具体的な投資分野にも触れた。インフラでは、気候変動レジリエンスや公衆衛生等に配慮しながら持続可能な成長を実現するため、交通網、送電網、高速インターネット、水関連施設等の整備を進める。エネルギーでは、再生可能エネルギーの他、CO2フリー水素、先進的な原子力発電、炭素回収・貯蔵(CCS)、バッテリーに関する内容を盛り込んだ。
自動車では、電気自動車(EV)充電ステーションに言及し、電気自動車を推進していく意向を示した。その上で、100万人の新規雇用を生み、国内サプライチェーンを重視する姿勢を示した。米国の主要産業と認識されている自動車産業の意向に沿う方針を打ち出した。その他の交通網では、二酸化炭素排出量ゼロ型の交通手段として、LRT(ライトレール)、徒歩、自転車、CO2フリーバス等を促進する。
不動産では、4年間で、不動産400棟の修繕、住宅200万戸の気候変動レジリエンス対応を実施し、100万人に好条件の雇用を創出する。また省エネや電化のための直接的な補助金や低金利融資を実施していく。また、持続可能性に配慮した住宅150万戸の新規建設も進める。
農業・環境保全では、気候変動対応型のスマートアグリでの雇用創出と、石炭、ウラン、石油、天然ガスの開発鉱区跡地の環境再生を掲げた。
産業転換において重要となる雇用政策では、まず、民主党が支持する団結権保護法案が2019年12月に連邦議会に提出されており、バイデン氏はこれを支持。また、公共サービス機関の労働者の団結権についても強化すると宣言した。さらに、クリーンエネルギー等の新産業を促進しながら同時に好条件の雇用を創出するため、「21世紀エネルギーのためのグッドジョブ法案」への支持を示した。さらに、政府調達パワーを通じた労働条件引き上げを狙い、政府調達を受けるためには時給を15米ドル以上に引き上げ、休暇や労働時間についても条件を課していくとした。
【参照ページ】THE BIDEN PLAN TO BUILD A MODERN, SUSTAINABLE INFRASTRUCTURE AND AN EQUITABLE CLEAN ENERGY FUTURE
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