食品世界大手ネスレの英国法人ネスレUK・アイルランドは6月23日、主力製品「キットカット」でのカカオ調達を、従来の英フェアトレード財団の「フェアトレード認証」取得農家から、国際環境NGOレインフォレスト・アライアンス(RA)の認証取得農家に切り替えると発表した。10月から実施する。
同社は、今回の変更について、カカオ調達のサステナビリティを高めるためと説明。RAの高い知見とサステナビリティ基準を評価したと説明している。またRAは、2017年6月にUTZ認証を運営して生きたオランダUGOのUTZとの統合を発表。環境基準を設定したレインフォレスト・アライアンス認証と、環境・農家経営の双方に関するUTZ認証を統合した新たなレインフォレスト・アライアンス認証を6月から開始し、監査を2021年半ばから必須にする計画を進めている。また、ネスレは、児童労働対策や農家の生産性改善支援でレインフォレスト・アライアンスと長年パートナーシップを結んでいた。
ネスレは2025年までに「ネット・カカオ・プラン」で定めている基準を100%適用する目標を掲げている。今回の決定は、ネスレUK・アイルランドの営業範囲である英国とアイルランドで販売されるキットカットに適用される。
一方ネスレは、今回の変更によって影響を受ける農家へのインパクトを軽減するため、2020年期と2021年期は、フェアトレード財団に支払っていたプレミアム(上乗せ価格)を考慮し、現行と同じ価格帯で購入すると宣言。来期はガーナとコートジボワールの両政府が決定したカカオ豆の最低価格方式に従い、1t当たり400米ドル(約4.2万円)を支払うのに加え、農家にプレミアムとして1t当たり60米ドル(約6,000円)を支払うという。
また、フェアトレード認証取得農家が、UTZ認証が取得できるよう支援する。また次年度にUTZ認証水準にまで達することできない農家に対しては、資金支援も行うと表明した。加えて、農家支援に100万ポンド(約1.3億円)、地域コミュニティ支援に50万ポンド(約0.7億円)を支出すると発表した。
これに対し、英フェアトレード財団は同日、声明を発表。今回のネスレの発表については、カカオだけでなく、砂糖調達にも適用されると言及し、ファアトレード認証カカオの取引が減少することで、コートジボワール、フィジー、マラウィの農家合計27,000件が加盟する協同組合を経由して受け取っていた年間200ポン万ポンド(約2.6億円)のプレミアム収益が減少すると懸念を表明した。また農家が市場へのアクセスを失うとも伝えた。
同財団は、プレミアム収益は、各地域での学校、診療所、食堂、女性支援プログラム等に投じられており、ネスレに再考を求めた。
【参照ページ】KitKat moves to Rainforest Alliance certification to harmonise Nestlé’s cocoa sourcing accreditation
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