韓国の政府系シンクタンク韓国開発研究院(KDI)は6月18日、インドネシア・ジャカルタ近郊で新設計画が進められている石炭火力発電所「ジャワ9号機」と「ジャワ10号機」について、著しく損失が出るとの事前妥当性評価の結果を発表した。
同発電所は、設備容量が合計2GWの超々臨界圧石炭火力発電所(USC)。スララヤ石炭火力発電所の拡張として計画が進められている。事業主体は、インドネシア電力が51%、Barito Pacificが49%を出資する合弁のPT Indo Raya Tenegaで、現在、韓国電力公社(KEPCO)が出資を検討している。ジャワ9号機が2023年、ジャワ10号機が2024年に事業開始を予定している。
事業コストは、32億米ドル(約3,400億円)。エクイティ20%、デット80%のスキームで、プロジェクトファイナンスは、DBS、韓国開発銀行(KDB)、韓国輸出入銀行(KEXIM)、バンク・ネガラ・インドネシア、インドネシア輸出入銀行(Eximbank Indonesia)、マンディリ銀行、シーメンス銀行、メイバンク、CIMB、中国銀行。韓国貿易保険(K-SURE)が貿易保険を付けている。施工はシーメンスと韓国の斗山重工業。
今回の事業性評価では、KEPCOが同事業に投資した場合、708万米ドル(約7.6億円)の損失になると試算。ライフタイム全体で4,358万米ドル(約47億円)のキャッシュフロー・ネガティブになると判断した。
KEPCOは、ベトナムのブンアン2石炭火力発電所にも出資を検討しており、同様にKDIは予備妥当性評価で、採算割れの試算を出している。しかし6月11日、KEPCOのブンアン2への出資は最終的に承認された。
【参考】【日本】韓国政府、日本の官民推進のベトナム・ブンアン2石炭火力を採算割れと判断。環境NGO5団体発表(2020年6月18日)
KEPCOは、韓国政府が51%の株式を保有しているが、韓国証券取引所に上場している。アジア太平洋地域の気候変動機関投資家イニシアチブAIGCCは3月、KEPCOの海外石炭火力発電所への投資に懸念を表明する声明を出した。その中では、ブンアン2石炭火力発電所、ジャワ9号機と10号機、さらにフィリピンのスアル石炭火力発電所に言及し、投資リスクがあると警告。KEPCOも機関投資家からのエンゲージメントを受けている。
【参照ページ】International investors: KEPCO should reconsider supporting new overseas coal power plants
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