欧州環境庁(EEA)は6月23日、EUの廃棄物リサイクルに関する専門報告書を公表した。EUはリサイクル率向上のポテンシャルが非常に大きく、廃棄物の種類によってはリサイクル率を最大2倍に引き上げることができるとした。
同報告書では、一般廃棄物、建設・解体廃棄物、電気電子機器廃棄物の3分野の廃棄物リサイクルの現状とポテンシャルについて分析を行った。これら3分野はEUで発生する廃棄物の大部分を占め、廃棄物枠組み指(WFD)や電気電子廃棄物指令(WEEE)によって、リサイクル率向上の目標が設定されている。リサイクル率のポテンシャルは、現在の法施行状況下でのリサイクル可能量理論値もしくは特定地域での実績値のベンチマークを基に算出した。
その結果、一般廃棄物は現状43%に対し80%、建設・解体廃棄物は現状74%に対し96%、電気電子廃棄物は現状31%に対し75%までリサイクル率を引き上げることができると試算した。また、同報告書の数値は、2020年3月に公表されたサーキュラーエコノミー・アクションプランに示された最新の対策を考慮に入れていないため、実際にはさらに高いリサイクル率が望める可能性があることも示唆した。
【参考】【EU】欧州委、サーキュラーエコノミー・アクションプラン発表。2021年までに各分野の法制化検討(2020年3月13日)
その上で、ポテンシャル達成のために大きく4つの壁があると分析。一つ目は、リサイクル材料の価格が未使用材料に比べて不当に低いこと。二つ目は、リサイクルのために回収された廃棄物の質が必ずしも担保されていないこと。三つ目は、リサイクルのために回収された廃棄物量が急増しており、リサイクル施設の処理能力が追いついていないこと。四つ目は、特に電子機器などの一部の廃棄物において、リサイクル不能な素材と分離不可能な設計になっていること。
これらの問題に対して考えうる対策も例示した。具体的には、税金や補助金によるリサイクル材料市場価格の適正化、一般廃棄物回収義務化、危険物質使用規制のさらなる強化、拡大生産者責任のさらなる強化を挙げた。
また、サーキュラーエコノミー・アクションプラン2020によって示した「リサイクル設計」「分解設計」「修理権」等の新方針により、リサイクル率向上とサーキュラーエコノミー化が加速できると提言した。
【参照ページ】Doubling recycling across Europe is feasible, for certain waste streams
【参照ページ】The case for increasing recycling: Estimating the potential for recycling in Europe
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